Curse5 (yasu×hyde)




「・・・おはよう。」
「おはよう・・・って、おい・・・」

少し遅れて自分達のスタジオの一室に戻ると、youちゃんとka-yuが駆けつけてくれた。
そんな2人の声も耳に入らないような状態でふらふらと部屋へと入る。
昨日の今日でこんな状態で現れた俺を見た2人は、昨日の事もあったからかしきりに心配してくれている。
俺は一人で抱える事が耐え切れずに、今までの一部始終を全部話した。
話しながら想いが溢れて、耐え切れなくて崩れるようにその場に座り込んだ。

「俺は、本気で好きやのに・・・・」

少しでも近づきたかった。
傍に居れると思った時は心底嬉しかった。
ただ傍に居て笑顔が見れるだけでも幸せだったはずなのに。
もっと、もっと、望んでしまう。
ちゃんと一人の男として、見てほしかったのに。

それでもhydeさんが選んだのは俺じゃない。
もう傍に居ることさえ叶わない。


*


それからまた1週間月日は流れた。
この日俺はある決心をしてスタジオへと来ていた。

「お久しぶりです。」
「yasu・・・」

突然越えを掛けられたhydeさんはもちろん驚いた顔で俺を見た。
いつもは呼べば笑顔で振り向いてくれたのに・・・今はとても複雑な表情を浮かべていた。

あれから冷静になって考えて、どうするのが一番いいのかを考えた。
hydeさんはkazさんを選んだ、それなら自分は身を引くしかない。
諦めきれないのなんて自分でも分かっている、それでもやっぱりhydeさんが大好きだったから・・・幸せになってほしいと思った。
自分の感情の存在がhydeさんを苦しめているなら、身を引くのが最善の方法なんだと悟った。

もう逢わないほうがいい、・・・そう自分でも分かっていた。
傍に居れば・・・また逢ってしまえば、きっとこの想いはどんどん加速していってしまう。
それは望まれない結果だと分かっているから、だからもう逢わないほうがいい、と。

それでももう一度だけ会おうと決めたのは、このまま喧嘩別れになってしまうのは嫌だったから。
だからこの日・・・同じスタジオでの仕事の最後の日、俺はhydeさんへ声をかけた。

「明日からまた別のスタジオになるんです。今日でここも終わり。
hydeさんとは喧嘩別れみたいになってもうてたし・・・もう一度会っておきたくて。」
「うん・・・。」

まだ困ったような表情を浮かべたままのhydeさんは、視線を泳がせる。
もういつものようにその綺麗な瞳は俺を映してはくれない・・・。
最後ぐらいもう一度笑顔を見たかったな、なんて思いながらも、それも無理な事かと小さく息を吐く。

「その・・・俺と一番最初に寝た時はもうKazさんと付き合ってたんですね・・・」
「・・・・・。」

hydeさんは頷きはしなかったけれど、否定もないことに答えはイエスだと悟った。
それならどうしてという疑問は相変わらず浮かんだけれど、今更それを聞いた所で何も変わらない。
そう・・・hydeさんも言っていたようにただの気まぐれやったんや。

「やっぱり、俺のことはほんの気まぐれやったんですね。」
「・・・・っ!!」

やっと俺を見たhydeさんの瞳は困惑の色を称えていた。
そんなhydeさんをみながら、またちくりと心が痛んだ。
困らせたい訳じゃないのに・・・。

「あ、いいんです!俺・・・あんなこといいながらもなんとなく分かってましたから・・・、hydeさんが俺を本気で相手するわけないって。」
「yasu・・・」

できるだけ軽く軽く・・・本当は今にも張り裂けそうなぐらい悲鳴を上げる心中を悟られないようにと笑顔で答えた。
切なげな表情で俺を見つめるhydeさん。
それも全て今までの俺へとった行動への哀れみでしかない、そう思うと今すぐにでも泣き出してしまいそうだった。
そんな自分の本音にさえも嘘をつくように、わざと明るい口調で話を続ける。

「あー、・・・ああ!俺、彼女できたんです!」
「えっ・・・?」

俺は自分の気持ちを隠すことに精一杯で、その時のhydeさんの微妙な表情の変化に気づくことはできなかった。
hydeさんが何か言う暇も与えずに、話を続ける。

「この間飲みに行って知り合ったんですけれど、すごいいい子で・・・」
「・・・・そう、・・・そっか・・・」
「せやからこの間の忘れてください。」
「え?」
「・・・いや、今の彼女に出逢って分かったんです。あー俺やっぱり女の子好きやし」

言ってしまってから最後の台詞はいらなかったと後悔した。
それでもこのぐらいやったほうが、いいのかもしれない。
hydeさんが何の気兼ねもなくいられるようになるなら、それでいい。
反応も気になったけれど、つらくて、悲しくて、怖くて・・・hydeさんの顔なんて見れるわけもない。

「あっ、俺もう行かな・・・!それだけ言いたかったんで、じゃあ。」

時間を気にするように一度時計を見て、俺は慌てた風を装った。
こうするのが一番だと分かっていても結局hydeさんを諦めるなんて心ではできなかったわけで、やっとの思いでhydeさんに別れを告げた俺は居た堪れずに一刻も早くこの場を去りたかった。

「や、・・・yasu!」

けれど、逃げるように去ろうとする俺をhydeさんは呼び止めた。

「な、なんですか?」

顔を見るのが辛くて振り返ることができなくて・・・。
俺は振り向くことをせずhydeさんに背を向けたまま、問いかけた。

「あ、・・・いや・・・幸せにな」

呼び止めてくれたhydeさんが俺を選んでくれるんじゃないかと、期待してしまったのも事実。
けれどやっぱり現実はそう甘くはいかない。
小さく零したhydeさんの言葉に、最後にもう一度・・・と未練が込み上げて思わず振り返ってしまった。
けれど、hydeさんはもう背を向け去っていくところで、顔を見ることはできなかった。

「・・・・・・っ、」

もう一度踵を返した俺は耐え切れずに走りだした。

もう逢えない、大好きな人。

きっと、ずっと忘れられない、大好きな人。


*


一方hydeはyasuと別れて洗面所へと逃げ込むように足を運んだ。
そこに凭れるように背を預けた。
堪えるように張り詰めていた息を小さく吐くと共に、頬を熱いものが伝う。

「・・・っ、なんで――・・・・・」

嗚咽を堪えながら零した言葉は、yasuに向けてか自分に向けてか。
突然現れて言いたいことだけ告げて去っていったyasu。
一度は自分から突き放した相手だというのに、告げられたyasuの言葉に溢れる涙。
こんなのおかしいと思いながらも、拭っても拭ってもなかなか涙は止まってくれない。

「あれー、ハイド?」

そこへ入ってきたHIROKIの声に身体がびくりと揺れた。

「えっ・・・は、ハイド!?ど、どうした!?」

見上げたhydeの顔を見て、HIROKIの方も驚いた表情を浮かべる。

「ごめん・・・なんでもないから。」

そう言って涙を拭うもののやはりなかなか止まってはくれない。

「あっ・・か、Kaz!!kaz呼んで来るか!?」
「いいっ・・・いいから・・・ごめん」
「えっ、ハ、ハイドっ!?」

HIROKIの腕を払うように除けて、洗面所を飛び出した。
自分でもどうしてしまったのか分からない。
けれど、溢れてくる涙が止まらなかった。

屋上まで駆け上がり入り口を閉め、ドアへと凭れるように背をあずけると力を失ったように身体はそれを伝い崩れ落ちる。

「・・・・・っ、ふ・・・・・・・・」

己の身体を抱きしめて、ただただこの感情が去るのを待つ。
これでよかったんだ、と内心で言い聞かせるのに心の痛みはいつまでも消えなかった。



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・・・・・・・・・・・・・・・・◆COMMENT◆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


駄作な連載が年跨ぐとか。w
どんだけ作業遅いんだ自分。orz

すれ違い、すれ違い、どこまで行くんでしょう(笑)
収集がつかなくなってるとか言わn゚∀゚)・∵. ガハッ!! w
長編ってもうなんか後半ダレて来て駄目ですね。
本当むいてないわーww
でもすれ違いって書いてると凄い楽しい(マテw

相変わらずグダグダですが、少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
もう少しで終わる予定です。(前も言ってたw
もう少しお付き合いくださいー。
無駄に長くてごめんなさい(T-T)



2007.01.08
Heavenly Feathers 管理人


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