Curse3 (yasu×hyde)




見えないhydeさんの気持ち。
結局数ヶ月前と同じように一人悶々と考えていた。
直接聞いてしまえば早いものなのかもしれない。
それでも何も聞かないのは、暗黙の了解とでも言うのだろうか。
・・・というか、言えなかったとでも言ったほうが正解なのかもしれない。
小さく零したhydeさんの言葉。
その言葉が引っかかって、どこか今一歩踏み込めないで居る。

こんなにも焦がれているのに、相手には響いていない。
けれど、一度ならず二度までも好きでもないやつと寝るなんてできるんだろうか。
そう考えてはみるものの、hydeさんが俺に執着する意味なんて少なくとも俺は知らない。
心が見えない今、何かあればこんな関係きっとすぐに壊れてしまう。
だから、何か口に出したことで、何か変わったことで、逢える機会が無くなってしまうのは淋しいと心のどこかで弱い自分がストップをかけていたのかもしれない。
こんな関係、続けていていいはずないのに・・・。
事実を知るのが怖かった。

「はあ・・・・」

自然と漏れるため息。
どことなく、このまま甘んじて受けていて良い行為ではないと頭では分かっている。
そんな反面、分かっていながら突き放せないのは惚れた弱味というか・・・。
それにhydeさんとのsexは今までのどのsexよりも、官能的で気持ちが良くて・・・魅了されていくばかりだったから。
今日も昨晩のことが頭から離れなくて仕事中もなんとなく身が入らず、ぼーっとして時間が過ぎた。

「おい、おまえどないしたん?」
「あ、え?」
「一日中考え込むようにボーっとしよるし・・・あー、あれかhydeさんのことか?」
「えっ・・・」

まさかバレてるのかと思ったけれど、俺はhydeさんとの事を口外したこともないことに気づく。
それではなくてhydeさんのことって・・・?
気になりだした俺はka-yuの腕を掴み必死に問いただす。

「hydeさんのことってなんやねん、俺知らへん!」

問い詰めるようにka-yuのほうを見る。
俺が知ってると思っていたのか一瞬ka-yuはまずいという顔をした後、youちゃんのほうをちらりと見る。
俺の目線もyouちゃんを捕らえて、youちゃんが「え?」という顔で見た。
どうやらyouちゃんから回った情報らしい。

「you、ちょっと・・・」

ka-yuが困ったような申し訳なさそうな表情でyouちゃんを呼び、youちゃんもちょっと気まずそうにこっちに来た。
俺の様子とka-yuとで、何の内容か察しは付いているらしい。

「どういうことなん?」

ちょっときつめに問い詰める俺にyouちゃんはゆっくり話し出した。

「俺、たまたま聞いちゃって・・・」
「何を?」

聞き返した俺に、youちゃんがとても言いにくそうにぽつぽつと零した。

「hydeさんとこのギターのKazさんと・・・hydeさんが付き合ってるらしいって・・・」
「えっ・・・?」

つきあってるって・・・誰が?

途端、俺の頭の中がまっさらになる。

「ごめん、隠すつもりはなかったんやけど・・・」

自分が悪いわけではないのに、youちゃんは恐縮しきっていてちょっと俯いて黙ってる。
メンバーも俺の気持ちは知っていたから尚更。
そんなyouちゃんを見兼ねてか、ka-yuが横から慌てて助け舟を出す。

「き、聞いた話やし信憑性あらへんし、取り立てて言うこともないやん、な?」

メンバーも俺の気持ちには気づいてくれていたから、だから黙っていてくれたんだとは分かる。
そんなことよりka-yuとyouちゃんの言葉をどこか遠くで聞きながら俺の頭の中は、なんで?とかどうして?とか・・・疑問で一杯になっていた。

「yasu?」

黙ってしまった俺をyouちゃんが心配そうに覗き込んだ。

「あ、ああ!べ、別に平気やって!」
「でも・・・」
「ええねん。」

続けるyouちゃんの言葉を遮るように、付け足した。

「ええねん・・・なんとなく分かってたことやから・・・」

無理にでも笑顔をつくって返事を返した。
そう、どうして?とか疑問に思いながらも、心の中ではなんとなく分かってた。
hydeさんが俺に本気になるはずないってことも。
きっとちょっとした戯れだったんだってことも。

「ごめん、俺帰るわ」

そう一言だけ残して、スタジオを飛び出した。

それでも捨てきれない想い。
ちゃんと、確認したいと思った。
事実じゃなくて・・・hydeさんの気持ちを。


家について携帯を取り出しメールを打つ。
何気ない風を装ってのお誘いメールを打ちながら少しだけ手が震えるのは、もしかしたらこうしてメールを送るのもこれが最後になってしまうかもしれないから。

ほんの数行のお誘いのメール。
全て打ち終わり、意を決したように送信ボタンを押した。

「・・・もう逢われへんかもしれへんね」

小さく零して、決意を決めるように携帯を握り締めた。



*



「hyde?・・・hyde!!」

頬杖をついたまま、ただぼうっと一点を見つめているhydeにkazが呼びかける。

「えっ!?」

そんなkazの問いかけに弾かれたようにhydeは顔をあげた。

「メール、なってたよ。」
「え、ほんま?」

kazに差し出された携帯を受け取る。
携帯を手にしたhydeを見つめながら、kazが切り出す。

「なんか悩みでもあんの?」
「え?」
「いや、最近上の空だからさ・・・」
「あー別に何もないよ。ちょっと寝不足なだけ。」

そう笑うhydeをkazは相変わらず、じっと見つめる。

「疲れてんの?最近相手してくれないのに?」
「ちょっ・・・な、何言い出すねん!!」

さらりととんでもないことを口にしたkazに、hydeは慌てて制止に入る。
周りを見渡して人が居ないのを確認し、ほっとため息をつく。

「・・・あのなぁ、公の場でそういうこと言わんでよ!」
「別にもう今更じゃん、みんな知ってるよ?」

小声で怒るhydeとは反対に飄々とした表情で述べるkaz。

「バレたら困る?」

耳元で囁くと、hydeの身体がびくりと震える。
そんな素直な身体と真っ赤に染まる顔に、相変わらず可愛いだなんて思いながら。
そのまま首元に小さくキス。

「っ、ちょっ・・・!!!」

慌てて後ずさり顔を真っ赤に染めたhydeに、kazは小さく微笑んだ。

「メール見ないの?」
「み、みるよ!」

少し憮然とした表情で携帯を開くhydeの頭を小さくぽんぽんと叩いて。

「あんまり悩むなよ。」

そしてまた笑って”煙草吸ってくる”とkazは部屋を出て行った。
からかいながらも最後にかけてくれた優しい言葉と暖かい手。
そんなずっと傍に有る恋人の暖かなぬくもりに、もう一度携帯を開いたhydeの心が少しだけ痛んだ。
それでもまだ、この痛みが何なのか気づくことができなくて。

受信したメールに返事を返した。



*



よく行くお店で待ち合わせ。
これからとんでもないことを聞こうとしているにも関わらず、hydeさんからは何時もどおりのメールが返ってきて、少しだけ胸が痛んだ。
hydeさんを待つ間、色々な事を考えた。
一体どうやって聞こうとか、単刀直入に気持ちを告げたらいいのかとか。
返事によってはきっともう逢えない。
・・・いや、なんとなく結果は分かっている、だから・・・。

もう逢えないかもしれない。

「本気で好きやなんて言うたら、嫌われてまうかな・・・。」

小さく零した弱音。

今こうしてもう一度考えるとより一層実感が沸いてきた。
折角こうして一緒に逢える仲になったというのに、また振り出しに戻ってしまう。
いや、嫌われたらもう逢えないとなると、振り出し以前の問題か。

あの日の夜、もしあんなことになっていなければずっと一緒に居られたのだろうか。
どうしてhydeさんは、あんな・・・・。

そして思考は相変わらず振り出しに戻る。
”もう逢えない”そう思うと泣きそうになった。

「おまたせ。ごめん、遅れて。」

少し息を切らして個室へと入ってきたhydeの声に、はっと我に変える。
心なしか濡れた目をごまかすように擦って、顔を上げる。

「待った?」
「い、いえ!俺もさっき来たばっかりですから。」
「そう、良かった。」

そう笑ったhydeさんは向かい合うように腰を下ろす。
その笑顔に相変わらず胸は音を立てて、なんだか複雑な気持ちになる。

「どないした?」
「え?」
「や、なんか元気ないな〜思うて」

知らず知らずに俯き気味になっていたのか、hydeさんが心配そうな表情でこちらを見た。
そんな表情に心がずきずきと痛む。
もし、これから俺が聞く科白に、hydeさんはもっと困った顔をするんやろか・・・。

「いや、あの・・・」

口ごもった俺にhydeさんは柔らかい笑みを浮かべて。

「俺で良かったら相談のるで?」

心配そうに言った後、

「やっぱり元気なyasuが好きやし。」

そして、笑った笑顔に心奪われる。

なんで・・・そんな顔するんや。

ずっと言おう言おうと考えていた事も何もかも、其の笑顔で吹き飛んでしまった。
この笑顔がもう二度と自分に向けられることが無いという現実に向き合うことが出来なかった。
吐き出しかけた言葉をもう一度飲み込み、何事も無かったかのように話し出す。

「いや、なんか最近上手く曲作れんくて、気晴らしになんかぱーっとしたいな思うて。」

言おうと決めてきたのに、その笑顔を見たら何も言えなくなった。
弱い心。

ずっと、ずっと、傍でその笑顔を見ていたいだけなのに。



*



「yasu大丈夫か?」

これまでにないぐらい酔っているyasuを家まで送り届けたhydeは玄関先で、ドアに凭れるように立つyasuへと問いかける。
何時も以上にハイペースで飲んでいたyasuは、目も虚ろにかなり酔っているのが分かる。
家まで無事送り届けたということで、帰ろうとするhydeに今度はyasuが問いかける。

「今日は寄って行かへんのですか?」
「うん・・・今日はええよ。また・・・っ!!」

言い終わらないうちにyasuはhydeの腕を引き、hydeの身体はその腕の中にすっぽりと納まった。

「っ、ちょっ・・・」

いくら夜中と言えど、外ということもあり慌てるhydeを押さえつけるように抱き寄せて、耳元で囁く。

「ねぇ・・・、hydeさんと、シたい。」
「な、に・・・言って、ちょっ・・・・んっ・・・」

耳元で囁かれたいつもより甘い声音に身体が竦み、少しだけ怯んでしまう。
その隙をついたかのように、抱き寄せられたまま唇を奪われて成す術もなくされるがままに口付けが続けられる。

「や・・・めっ・・・っーー!!」

身体を拒むように離したhydeの腕をyasuは執拗に掴みまっすぐと見つめる。

「好きなんです。」
「・・・っ」
「hydeさんのこと、ほんまに、本気で好きなんです。」

酔って虚ろな目線とはいえ、まっすぐに見つめてくる瞳。
いつもとは違う、その冗談とは言いがたい表情に、思わずhydeの心が音を立てる。
途端、何故だか分からないほどの焦りが込み上げ、掴まれていた腕を思い切り払ってしまった。

「っ、ご・・・ごめん、俺、帰る!」
「hydeさん!」

必死に呼び止めるyasuの声を振り切るように、ただただ夢中で走った。
なんとなく気づいてしまった自分の気持ち。
その事実があまりにも苦しくて、気が付けば走りながら涙が零れた。

ここ最近ずっと纏わり付いていた悩みにも似たすっきりしない思いと、すべてが繋がった。
気づかなければ良かった想い。

・・・ずっと消えなかった、あの感触。



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・・・・・・・・・・・・・・・・◆COMMENT◆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

うーん・・・。
このまま話しは、どこへ行くのか(−−;
こんなハズじゃあ・・・
視点が色々入り乱れてますが・・・;
一応yasu視点は一人称で分かるようにして、hyde視点は所謂”神視点”で書いてたんですが。
それすらも結構あやふやになってきている辺りもう・・・orz
読みづらかったらすみません・・・(汗)
そしてまだ続いたりします。ダラダラと長くてすみませorz
ギャグ要素無くてすみませ゚∀゚)・∵. ガハッ!! (違w)



2006.10.26
Heavenly Feathers 管理人


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