Curse4 (yasu×hyde)
「・・・・何、やってるんや・・・俺は・・・」
仕事部屋へと帰ったhydeは耐えるように肩を抱いて小さく零す。
どうやって戻ったか覚えていない。
ただ夢中で走って仕事部屋へと戻り、ドアを背に座り込む。
掴まれた腕や触れた唇の感触が未だに熱く残っていて、それを振り切るように頭をふった。
一番最初身体を重ねた夜は、酔っていたから。
二回目の夜だって同じ、きっと酔っていたから。
自分にはそう言い聞かせてきた。
そのはずなのに・・・。
kazのこともちゃんと好きなはずなのに・・・。
気づけば頭に浮かぶのは現に居る恋人ではなくyasuの顔。
思い出すのは、たった二度だけの感触。
ちゃんと、優しい恋人が居るはずなのに。
自分でも分からない感情を抱いたまま、それでも逢ってしまっていたのは、やっぱり一緒に居ることが心地よかったから。
そしてなんとなく相手からは踏み込めないとそう思い込んでいたから。
自分から嗾けたのにも関わらず、向こうが踏み込めないのを分かっていて、お酒だとか理由をつけて無意識に逃げ道をつくっていた。
それなのに考えないようにしていた相手の気持ちを打ち明けられて、自分の気持ちすら見えないままに心だけが焦る。
このままでは駄目だと感じる心が、どこかで自分の気持ちにストップをかけていた。
ドアを背にもたれたまま、しばらくの間そうしていたhydeは咄嗟に立ち上がる。
呆然とした足取りのままもう一度家を出た。
そしてhydeが訪れたのはkazの元。
「kaz・・・・」
「ちょ、お前こんな時間に一体どうし・・・」
夜中に突然鳴らされた来客を告げる音にドアを開けたkazは驚いた表情でhydeを見る。
「yasuと飲みに行ったんじゃないの?」
とにかく部屋へと入れて意図を聞こうと疑問を問いかける。
そんなKAZの質問を聞いているのかいないのか、hydeは口を開いた。
「俺、アイツと寝た。」
「・・・・はぁ?」
「だから、俺、yasuと寝た。」
「・・・・普通、恋人にそういうこと言うか?」
突然のhydeの告白に思わずkazも動きを止める。
驚き半分、呆れ半分とでも言うのだろうか、なんとも複雑な表情と笑いを混ぜたような表情のkaz。
けれど、まだ退ききらない泣いたような跡のある瞳になんとなく訳ありを感じ、”とりあえず座って”とhydeに席をすすめる。
それでも座らずにただ俯きがちに立ち尽しているhydeに、ちいさくため息をついてから。
「いつ?今日?」
「違う、前に・・・」
ふるふると首を振って、小さく零すhyde。
言いにくそうにぽつぽつと事実を述べるhydeにkazは”そう”とうなずいた。
「アイツが好きなの?」
kazの質問にhydeは頷くでも否定するでもなく、ただ俯く。
そんなhydeにkazは小さくため息を零して、ぽんぽんとhydeの頭を撫でる。
そのkazの腕を縋るように掴み、hydeは続ける。
「俺はアイツとそういう仲になるつもりはないねん・・・。」
「つまり、ただの酒に酔った勢いだったと?」
「うん・・・でも・・・」
「・・・相手はそうは思ってくれてないって事だな?」
小さく頷いたhyde。
「俺は、前の先輩と後輩の仲に戻りたい・・・」
「ほんとにそう思ってるのか?」
つけたばかりの煙草を灰皿へと押し付けてkazはhydeの傍へと歩み寄る。
見上げたhydeの頬へと手を添えてくいと上を向かせ軽く唇を合わせる。
「・・・うん・・・」
hydeは俯き、解放された口で小さく呟くように返事をした。
「俺がほんまに好きなんは、kazやから・・・」
*
頭がずきずきする。
「あれ、なんや俺・・・・・・・あー・・・」
翌日目を覚まし思い起こすように考えて、はたと気づく。
凄いことをしてしまった。
酔っていた頭でも覚えている、振り払われた腕。
あれは完璧に拒まれた。
hydeさんの気持ちを確かめようと決めて呼び出して・・・でも結局hydeさんが自分に向けてくれる笑顔とかに心が揺らいで、言い出すことを躊躇ってしまった。
どこまでも渦巻く気持ちを少しでも忘れようと、無理に飲んだお酒。
酔いの回った頭はその気持ちを忘れる処か抑えがきかなくなって、気が付けばhydeさんを呼び止めて唇を奪っていた。
いけないと思いながらも自分を翻弄していくhydeさんの魅力。
やっぱり自分はどこまでも好きで大好きで止まないらしい。
「嫌われた、かな・・・」
ベッド脇におかれた、いつかのメッセージが書かれた紙。
未だにこんなものを捨てずにとっておくなんて我ながら女々しい。
そして、未だに思い続けている自分が滑稽で虚しくなる。
「ごめん、てゆうんやったら、初めからせんでよ・・・・」
悔しさなのか虚しさなのか・・・淋しさなのかも分からない、そんな涙が頬を伝った。
*
そして其の日訪れた仕事先のスタジオの一角で、kazさんを見つけた。
kazさんが居るってことは・・・hydeさんも居るってことやんな。
そういえば昨日、ちらりとhydeさんがしばらく同じスタジオで仕事だとか・・・そんな事を言っていたのを思い出した。
どんな顔して逢ったらいいんや・・・。
思わず足を止め隠れるように壁際へと後ずさってしまった。
そんな事を気にしてる間にもhydeさんの声が聞こえ、会話は小さくて分からないが何やら2人で話している様子。
仲睦まじげに話す2人を自分は遠くから見ているしかできないなんて・・・。
昨日の自分の行いを少しだけ後悔した。
気になったのも事実だけれど、そういう関係だと噂される2人の会話など聞いていたくはない。
もう戻ろうと踵を返そうとした俺の瞳に飛び込んできた、あまりにも衝撃的な情景に頭が真っ白になった。
想い人と恋人のキスを目の当たりにするなんて。
軽い挨拶なんてものじゃない。
明らかに恋人同士のキス。
youちゃんやka-yu達から2人はそういう関係だと聞いてからも、昨日あんな風に拒まれたと分かっていながらも、なんとなく心のどこかではそんなの嘘だと思う自分が居た。
信じられなくて・・・信じたくなくて・・・。
それを肯定してしまったら、hydeさんと過ごしたあの二夜は本当に意味の無いものになってしまう。
それが、とても怖かった。
けれど目の前で繰り広げられる口付けに、逃れようの無い現実を突きつけられた。
俺は動くことも忘れ、思わず立ち尽くしてしまった。
見たくなくて、信じたくなくて、今すぐにでも逃げ出してしまいたいのに、足が一歩も動かない。
「hyde、さん・・・」
辛うじて出たのは、そんな小さな言葉だけだった。
先に俺に気づいたのはkazさんだった。
その後振り向くようにして一瞬だけ俺を見たhydeさんは、気まずそうな表情ですぐに顔を逸らした。
金縛りから開放されたようにやっと動くようになった身体で俺がとった行動は、自分でも意外なものだった。
hydeさんの前に歩み寄りその腕を引いた。
「ちょ、何っ・・・・・」
腕を引かれ慌てるhydeさんの横に立っていたkazさんが、hydeさんの腕を掴む俺の腕を掴んだ。
「嫌がってるけど、やめてくれない?」
ゆっくりとそう告げるkazさんを有無を言わさず睨んで
「hydeさんと、ちょっと話があります。」
俺がそれだけ言うと、kazさんは少し笑みを浮かべて手を放した。
必死な俺とは反対に、余裕の態度とでも言うものだろうか。
抵抗するhydeさんの腕を掴んだまま近くのロビーへと向かった。
不思議にもkazさんはその場で自分たちの一室へと戻ったのか、ついてくる様子がなかった。
そんな事にも少しも疑問を感じないぐらい、俺は目の前のhydeさんの事で頭がいっぱいだった。
「こんなとこに連れてきて、何やねん。」
開き直りとでも言うのかhydeさんは怒ったように俺に言う。
「昨日の事は謝ります。・・・でも、hydeさんは俺のことなんとも思ってへんの?」
「・・・・こんなとこで話す話ちゃうやろ!」
「ああゆうことはしてもええんですか?」
話をはぐらかそうとするhydeさんに少しだけ苛立ちを覚えて嫌味交じりに言った。
思わず言葉に詰まったhydeさんに俺は吐き出すように自分の気持ちをぶつけた。
「俺は、ずっとhydeさんが好きや言うてきた。hydeさんやって気づいてくれてたんとちゃうん?
せやから、あの日俺の気持ちに答えてくれたんとちゃうんですか!?」
「・・・そんなん知らん、何勘違いしてんねん!俺は・・・俺はただ酔ってただけや!ほ、本気になんてするわけないやろ!」
「ほんまに、遊びやったんですか?」
「当たり前や!一回や二回したぐらいで恋人面されたら迷惑や!」
そして昨日と同じように掴んでいた手を振り払われる。
「・・・なんで、そんな事言うんすか・・・」
いつもいつも、もしかしたらなんて自分の都合の良いように考えていたけれど・・・今回はもうどうにもならない。
哀しいけれど、この時そう強く感じた。
「せやから言うてたやん、本気になったらあかんって!俺はお前とそういう関係になりたいなんてこれっぽちも思ってへんかった」
hydeさんが述べる言葉に、何一つ抵抗できなくて。
ただその言葉だけが突き刺さる。
「お前が悪いんやで・・・お前が、本気になるから・・・でなければもっと・・・」
そうして少しだけ俯いたhydeさん。
「とにかくもうこれで終わりや!もう逢わへん!!」
「hydeさんっ!!?」
hydeさんは俺の言葉を待つことも無く、俺を突き放し足早に駆けていった。
一人残された俺は、どうすることもできなくてただその場に崩れるように座り込む。
散々一人で泣いたのに、また涙は流れる。
「本気になったらアカンのやったら、なんであんなことすんねん・・・・」
あんなこと言われるなんて思うてへんかった。
情けない・・・そう自分でも思っているはずなのに、涙は止まってくれなかった。
*
「おかえり」
先に戻っていたkazが、戻ってきたhydeに声をかける。
「浮かない顔してるな。」
「別に。」
覇気の無い顔でソファへと腰を下ろしたhydeの隣へとkazも腰を下ろす。
「これで良かったんだろ?キスでもなんでも俺達がそういう仲だって見せ付けられれば。」
「あんなキス頼んでへん!」
回された腕を気だるそうに払って抗議するhydeに、kazは肩をすくめて見せる。
「いいじゃん、本当にそういう仲なんだから」
「・・・だけど、なにもっ」
hydeの抗議を遮るように、もう一度kazは問いかけた。
「でも、これでよかったんだろ?」
「・・・・うん、いいよ、これで・・・」
・・・これで、何もかも終わりにすればいい。
kazに答えながら自分に言い聞かせるようにhydeは小さく呟いた。
Comming soon,,,
・・・・・・・・・・・・・・・・◆COMMENT◆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
書きながら一通り見てみると・・・なんだかyasuさんがえらい執念深すぎてキm(略www
というか、ほんとなんか必死すぎてウz(略www
ほんとはもっと、必死で可愛い、見てると応援したくなる、そんな感じを目指していたはずなのに・・・(笑)
自分で書きながら、こんなに執拗に付きまとわれたらhyさんも大変だなーとか思ってる辺りww
でも結構hyさんも酷いこと言ってるし、まあいいか、みたいな(マテw)
そんなこんなでえらい長いですがまだ続きます。
次か、その次あたりで終わらす予定。
まあありきたりですがまた読んでやってください。
メルフォで感想下さった方、本当に有難うございます。
頑張ります。
2006.02.15
Heavenly Feathers 管理人