Curse2 (yasu×hyde)




「・・hyde」
「え?」

仕事を終えて部屋を出ようとするhydeを呼び止める声。

「・・・kaz、何?」
「や、今日は?」
「今日は・・・ごめん、ちょっと用事あんねん。」

ごめん、と小さく頭を下げる。
そんなhydeの仕草に弱ったような笑みとため息をひとつ吐いてkazは頷いた。

「そうか、分かった。」
「うん・・・ごめん。」
「あ、hyde!」

もう一度部屋を出ようとする所をまた呼び止められた。

「え?な・・・」

”何?”と模った口元を唇がふさぐ。

「・・・・っ、ちょ、」
「また明日」

突然の口付けに慌てるhydeに笑みだけ残してくるりと向きを変えたkazは、手を振り奥へと戻っていった。

「うん、また明日・・・。」

去っていく背中にそれだけ残して、hydeは部屋を後にした。


*


「yasu、お客さん。」

あらかた仕事も終えて帰り支度をしていた俺に、ka-yuが声をかけた。

「へ?俺に?」
「ロビーで待ってるで。」
「んー、分かった」

ちょっとニヤニヤとした表情で告げるka-yuに少し疑問を抱きながら、支度を終えて部屋を出た。

一体誰やろ?と疑問に思いながら、ロビーへと入った途端掛けられた声に思わず身体が固まった。

「yasu」
「え・・・hydeさん!?」

俺の姿を確認したhydeさんは、立ち上がりこちらへと駆け寄ってくる。
一方俺は半ば混乱しながらただhydeさんを見ていた。

「仕事終わったんやろ?久しぶりやし、ご飯でも食べにいかん?」
「え・・・ああ、はい。」

いつものように上目遣いで聞いてくるhydeさんに、俺が断れるはずもなく。
少し気まずい気もしたけれど、きっとhydeさんの中では大した問題でもなくて、多分もう過去の事。
それなら忘れたらいい、と内心自分に言い聞かせた。
少しだけちくりと響く胸の痛みを払いのけるように笑顔をつくり、hydeさんの後に続いた。


*


結局hydeさんの車で食事に向かった。
hydeさんはいつもと同じように、ゆったりとした話し方で笑っていて、あの日の事を少しも気にかけていないのかと思うと、少しだけ虚しい気もした。
それでも俺にとってはhydeさんが傍で笑っていてくれるだけでも嬉しかったから。
しばらく逢えない間、あの事がきっかけで嫌われていたら・・・と思って過ごした日々にくらべたら、こんな少しの虚しさぐらい耐えたらいいと言い聞かせた。

そう、そうやって決心をしたはずなのに。

「・・・あのさ、この間の・・・ごめん。」
「え?」

それまで好きな音楽やライヴの話をしていたhydeさんが、急に小さく言葉を零した。
あまりにも突然でもう一度聞き返した俺に、hydeさんは言いにくそうにもう一度口を開いた。

「だから、あの時の・・・」
「え・・・あっ!」

少し頬を染めて俯き気味に言うhydeさんにあの日のことだと理解して、思わず声を上げてしまった。
途端、思い浮かべてしまったあの日の情景に顔が熱くなるのを感じた。
未だに思い出しただけでも赤面してしまう辺り、自分は全然割り切れていない。
目の前に本人が居るというのに申し訳ない気ががして、顔を逸らすように俯かせる。
そしてhydeさんも同じように少し俯きながら伺うように話を続ける。

「い、嫌やったら忘れてくれてかまわへんから」

続いて発せられた言葉に勢い良く顔をあげて言い返す。

「べ、別に俺は嫌やないし、それに・・・っ」

思わず、”好きですから”と言いそうになり、言葉が飛び出す一歩手前で押し留める。
そんな俺の弁解に、一瞬だけびっくりした顔をしたhydeさんは、その後安心したように笑った。

「ほんまに?よかった・・・。」

そうひとつ零した。
そんなhydeさんの笑顔に、俺も思わず笑顔を返す。

言いよどんだのは、よくよく思えばhydeさんの気持ちがまだ分からなかったから。
あれから今まで、hydeさんにとっては何も問題も無いただの戯れだったと思っていたけれど、
こうやって言いにくそうにも切り出してくれたということは少なからず意識してもらえていたからだと、その部分は心外だけれど嬉しかった。
でも、最後に受けた笑顔の意味は、なんとなく読みきれなくて・・・。
もしかしたら、ほんとうにそれきりということで零した結果なのかもしれない。
そう思うと、この気持ちを伝えていいのか分からなかった。

こんなにも用心深い恋愛をする経験は無かったはずなのに・・・それでもhydeさんの気持ちを聞くまでは言えない。
嫌われたくないなんて弱い気持ちが情けないけれど、でももし言った事で関係が壊れてしまうのは嫌だった。

それでも、hydeさんが安心したように笑ってくれて、自分でも少し嬉しくなったのは事実で。
やっぱりhydeさんは笑うと可愛い。
そう思い、少しだけ残る心の痛みは胸の奥へとしまいこんだ。


*


そんな事があった後、それからは相変わらずな話を続けて家路に着いた。
送ってもらったhydeさんの車が俺の家へと到着する。

「ありがとうございました」

助手席から降りてお礼を言う俺に、窓を開けhydeさんは首を振った。

「ううん、こっちこそ今日は有難う。」
「いえ、また誘ってくださいね。」
「うん・・・あ、じゃあ行くね。」

色々あったけれど、それでもやっぱり久々にhydeさんに逢えたことは嬉しかった。
だから、こうして分かれる時間が来ると、やっぱり寂しいと思ってしまう。
そんな風に自分が思っているからか、自惚れかもしれないけれどhydeさんの表情もなんだか少し寂しそうに見えた。

「あ、あのっ・・・!」

気が付いたら、窓を閉めようとするhydeさんを呼び止めていた。
閉じかけていた窓を開けて、hydeさんがこちらを覗き込む。

「あの・・・良かったら、上がっていきますか?」
「え?」
「あ、いや・・・ほら、hydeさん運転じゃ飲めへんかったやろし良かったら・・・」

思わず聞き返されて焦ってしまった。

「ええの?」
「もちろん、飲み直ししましょう」

どことなく期待してしまう自分が凄く惨めだったけれど。
hydeさんも嬉しそうに笑ってくれたから、それでいいかと思ってしまう自分は単純すぎた。



*



誘ってしまってからふと気づいた。
飲みなおししましょうなんて、泊まっていってくれと言わんばかりの理由ではないか。

隣でお酒を飲むhydeさんをちらりと見ながら心中でため息をついた。
あんなこと言われておいて、下心有り有りな奴って思われたらどないしよう・・・。
そんなことを考えたらきりがなくて、途端、そわそわと落ち着かない。

「どないした?」

そわそわする俺を不思議そうにhydeさんが見る。
そんな表情すら可愛くて誘っているように見えるなんて俺は病気かもしれない。

「yasuものんだら?」

そういってグラスを差し出すhydeさんから受け取ったものの、思わず取り落としてしまった。

「うわ、すみませ・・・」
「もう、何やっとんねん」

身を乗り出して拭いてくれるhydeさん。
思わず近づいた顔に胸が高鳴る。

髪から香るあの時と同じ香とか、長い睫毛とか・・・そんな事に鼓動は増していくばかりで。
hydeさんが動く度に、以前逢った時よりも長くなった髪が揺れる。

「髪・・・伸びましたね」
「え・・・あ、うん・・・」

無意識にその揺れる髪へと手を伸ばし、そっと触れていた。
少し頬を染めて頷くhydeさんがあまりにも綺麗で、可愛いくて。

髪を撫でる手を頬へと運ばせても、hydeさんは抵抗することなくただ俺を見つめていたから。
そのまま、そっと唇を合わせた。
ただ触れるだけの口付けで唇を離すと、こちらを見るhydeさんの視線とぶつかった。
そういえば・・・と、1ヶ月前の夜を思い出すと同時に、hydeさんの唇で塞がれた。

あの日の夜もこんな風に・・・。

遊びなのか本気なのか確定付けるものがないまま、ゆらりゆらりと漂う貴方の色香に惑わされて。

何度も重ね合わされて絡めるように忍ばされる舌が熱くて意識が朦朧として、ただただその口付けに夢中になる。
静かな部屋に響く濡れた音が耳に残り身体も自然と火照っていく。

「・・・・ン、・・・・は・・・」

離された唇が空気を求めて吐息を漏らす。
そんな吐息にさえも欲情してしまうほど、目の前の憧れの人は妖艶な仕草でこちらを追い詰める。

こんな理不尽な関係おかしいと想いながらも、好きな相手を目の前に理性を保てるほど大人ではなくて、唇が離される頃にはもう我慢なんてできるわけもなく。
これすらも、もしかしたら相手の想うままなのかもしれない、なんて想ったりしてみても、もう崩壊した理性では留めることなんて出来るわけがなかった。

芽生えた欲情のままに抱き寄せて、そのままソファーへとその身体を沈める。
抵抗することもないhydeさんの頬や首や胸元へと何度も口付けを降らして、其の度に漏れる鼻掛かった声が更に理性を狂わせた。
我慢なんて出来るわけがない。

「hydeさん、俺っ、」

思わず”好きや”と零しそうになった言葉は、遮るように振ってきたhydeさんの口付けで拒まれる。
絡み合う舌の温度が熱くて、思考が溶けそうになる。
そんな熱く堕ちてゆく夜の狭間、ふと漏らしたhydeさんの言葉。

「本気になったらあかんで」
「え、・・・・っ、」

囁いたhydeさんの言葉への疑問は、また訪れた口付けの誘惑に溶かされていく。



*


そしてまた朝にはhydeさんの姿は消えていた。

目を覚ました俺は独りのベッドの上で一枚の紙を見つめる。

『 ごめん
  用事あるから先帰る。 』

いつかのデジャヴみたいな、簡潔なメッセージ。

「だから、”ごめん”ってなんやねん・・・」

なんで・・・

どうして・・・

ずっと手に入れたいと思っていた。
胸に秘めていた欲望のひとつが叶ったはずなのに・・・

心だけが凄く痛かった。


「俺は・・、どないしたらええんですか・・・?」

誰に問いかけるでもなく、呟いた弱音は空へと消えていった。



Next


・・・・・・・・・・・・・・・・◆COMMENT◆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

うわー、もうほんとごめんなさい。(土下座)
でもまだ続きます゚∀゚)・∵. ガハッ!!
長編って自分に向いてない。orz
どうしようとか独りですごい焦ってます。

てゆか毎度hyさんより先に起きれないやちゅりん゚∀゚)・∵. ガハッ!!
・・・ごめん、ギャグじゃないです・・・(自爆w)
これから切なくなってぐ予定なのにあの子とか大丈夫かなw(お前が頑張れw)
更新遅い上に結構意味わからんちんですがこれからもお付き合いしてやってください。
何かあったら感想いただけたらワッショイ喜びます。




2006.09.15
Heavenly Feathers 管理人


◆簡易メールフォーム◆
ご意見、ご要望・ご感想等ありましたらどうぞ(^^




不都合が御座いましたら、お手数ですが下記アドレスまで。(コピー&ペースト)
feel_heavenly_white_feathers@hotmail.com


<<戻る。