×-Game (yasu×hyde)
「うわ、だいぶ遅れてもうた〜!」
俺は足早に見知ったマンションへと足を踏み入れた。
エントランスで呼び出し音をならし、返答を待つ。
hydeさんから飲みのお誘いがあったのは数時間前。
anisやらHYDEバンドのメンバーやら、集まって飲み会やるから来ない?というhydeさんからのお誘いを、俺が断れる訳も理由も無く。
突然の誘いだったにも関わらず、こうして仕事を切り上げてやってきた。
それでも一旦区切りのいい所まで進めるのに思ったよりも時間がかかり、それなりの時間が経ってしまっていた。
もうみんな集まってるんやろか。
まあそんな事を気にしつつも、hydeさんに逢えればそれで充分。
しかもhydeさんのマンションへとお呼ばれなんて美味しすぎる。
そんな事を考えニマニマしているうちに、インターフォン越しにhydeさんの声が聞こえた。
「今開けたから、入ってきて。」
クリアに聞こえてきたhydeさんの声に少々の疑問を感じる。
飲みをやっているという割りには、バックがやけに静か・・・まだ他の人達来てへんのやろか。
そんな疑問を抱きながらもhydeさんの部屋へと向かいお邪魔する。
「お邪魔しまーす」
「んー、あがって〜」
「はい」
言われるがままに部屋へと足を踏み入れたが・・・やっぱり静か過ぎる。
hydeさんが居るリビングへと入ったが、そこに他の人の姿はなくて・・・。
「あれ?みんなまだ来てへんのですか?」
「んー。とりあえず座れや〜」
適当に返事をしてお酒を口にしたまま、こいこいと手招きをするhydeさん。
「はい」
とりあえずとお酒を差し出すhydeさんから受け取ったものの、やっぱりなんとなく気になる。
「みんなこれから来るんすか?」
そう聞いた途端hydeさんは口にしていたお酒を止め、トンとテーブルに置いた。
其の目がなんとなく少し不機嫌そう。
「なんやねん、俺だけじゃ不満か?」
「えっ・・・いや、そ、そんな訳じゃあ・・・む、むしろ嬉しいです!」
嫌な訳ないやんか!・・・寧ろ、好都合や!
hydeさんと2人きりなんて、望む所や!!
「ほんまに??」
必死で否定する俺をhydeさんはじーっと見つめたまま、顔をずいと寄せる。
ち、近いって!!!
余りにも近すぎるhydeさんの顔に耐え切れずに思わず顔を逸らした。
その顔をhydeさんが引き戻して、
「なあ、ほんま??」
もう一度確認するように聞いてくるhydeさん。
だから近いってーーーー!!!
お酒が入っているせいか、見つめてくるhydeさんの瞳は心なしか潤んでいて、頬も少し紅く上気していて・・・もうそんな顔で迫られたら正気でいられる自信なんて無い。
「顔、紅いで?」
「っ・・・・・・・」
言葉に詰まる俺の顔を覗き込むように顔を寄せたhydeさん。
そしてその顔が近づいてきて・・・
「・・・・っ、んぅ・・・・・・・」
唇がそっと重なった。
なななななななななななんやってーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
やがて唇を話したhydeさんは、頬を染めたままふいと顔を背けた。
「・・・・・っ・・・!!?」
ちょっ・・・・・ななななな何事や!!!
突然の行為に俺の頭は当然のようにパニック。
口をあんぐりとあけたまま、ただ唖然とするしかない。
なんでhydeさんが俺にキスを!?
ちゅーことは、もしかして・・・
そんな事を考えているとhydeさんが不意に立ち上がり後ろを向いたかというと、リビングの入り口とはもう一方のドアに向かって叫んだ。
「もうこれでええやろーーーー!?」
・・・・・・・・・・は???
その真意を取りはぐれているうちにそのドアの向こうから盛大な笑い声か聞こえてきた。
「あはははははははははは!!」
「ありえなーい!」
「腹痛いーーー!!」
口々にけたたましく叫びながら流れ込むようにリビングへと入ってきた。
「・・・ありえないって、お前らが言うたんやろ!!」
そんな輩達にhydeさんは顔を紅く染めたまま猛抗議をしていた。
俺はそんな皆の様子を未だにただ唖然と見ているしかなく・・・。
一人呆然とする俺にAnisが近寄り、耳元で囁いた。
「これはハイドの罰ゲ〜ム〜!やす〜残念だったね〜!」
「・・・ばつ、げーむ・・・・」
ああ、罰ゲームね。
つまり何らかのゲームで負けたhydeさんの罰ゲームが俺とキスするっちゅー・・・よく有りがちな罰ゲームっちゅー事か。
・・・うん、それなら頷ける・・・って何納得してんねん!!
少なからず本気にしてドキドキしてた自分が阿呆みたいやんか!!
hydeさんのほうをチラリと見ると、未だにhydeさんはからかうメンバーに剥れて抗議していた。
そうやな・・・hydeさんが俺をなんてありえへんもんな。
自らそう悟ってとても落ち込んだ。
もしかしたらなんて思って、hydeさんの一挙一動にドキドキしていた自分が阿呆らしい。
でも、あんなことされたら誰だって勘違いする・・・って、ああもうあの行為自体全てが罰ゲームなんやから、仕方ないのか。
それにしても、罰ゲームでキスなんて・・・hydeさんは俺の事少しも意識してくれてへんちゅーことやんか・・・。
わいわいと騒ぎ立てる部屋の片隅で一つため息をついた。
それからまた飲みは始まったけれど、どことなく乗り切れない。
hydeさんとも気まずくて全然顔が合わせられなくて、ついつい顔を逸らしてしまう。
せやってあんなことあった後で、どんな顔してええのか分からへん。
「冗談でした」「そうですか」で済ませるのが普通なのは分かってる。
だけど、そんな簡単に立ち直れるほど俺のhydeさんへの思いは浅いものではない。
「あれー、もうお酒無いのー?誰か買出し・・・」
「あ、俺行きますよ」
辺りを見回すAnisに自ら挙手をした。
まあ、なんとなく居づらかったので好都合だった。
「じゃあ、行ってきますー」
席を立ち上がった俺に続いて、それまでAnisの隣で飲んでいたhydeさんが立ち上がった。
「俺も行く」
「えっ、いや、ええっすよ!俺一人で大丈夫ですし・・・」
「いーから一緒に行って貰いなよー」
断ろうとした俺の言葉をAnisが遮って、結局2人でマンションを出た。
「俺一人でもほんま平気っすよ」
そう言う俺の言葉に一瞥だけしてhydeさんは歩き出した。
外の風はもう冷たくて少し身震いした。
なんとなく気まずくて、無言のままhydeさんの後について前後に並ぶように歩いた。
途中、くるりと後ろを向いたhydeさん。
「なあ、まだ怒っとるん?」
徐に口を開いたhydeさんに一瞬怯んでしまった。
は??怒ってる??俺が??
ショックではあったけど・・・怒っている訳ではない。
ただ余りにも自分が惨めで凹んでいただけ。
「怒ってませんって」
「嘘、怒っとるやろ、俺のことずっと避けてる!」
そ、それはどんな顔したらいいか分からなかっただけで・・・別に怒っていた訳じゃあ・・・
そう言おうとした俺の言葉を遮ってhydeさんは続けた。
「お、俺やってな悪い思ってたんや!で、でも皆もう酒入っちゃってて断ったら場がしらけちゃうやろな思うて・・・久々にこんなゆっくりできたわけだし、楽しそうにしてる皆見てたら断るのも悪い気ぃしてきて・・・」
必死でそう言い訳するhydeさん。
そんな必死で言い訳されたら余計に惨めになる・・・。
悔しくてちょっとだけ意地悪したくなって、
「で、後輩を売っちゃったわけですか?」
つまり・・・やっぱり俺は罰ゲームで軽く弄ばれるぐらい、全然意識されてへんかったっちゅー事やねんな。
ああ、そう思ったら余計に虚しくなってきた。
「だ、だからごめんって!」
「でも、罰ゲームやからって、あんな事・・・・」
はぁ、とため息をついて肩を落とした俺に、hydeさんは何を勘違いしたのかむっとした顔で更に続けた。
「い、嫌やったらもっと拒んだら良かったやん!!」
は?嫌?
あんだけ好き好き言うてて嫌な訳無いやろ。
この人の鈍感さにはほんまに脱帽やな。
「嫌・・・?嫌やないっすよ」
「へ?」
俺の答えにhydeさんは不思議そうな顔で見返してきた。
・・・もういい加減ほんまに好きやって気づいて欲しいんやけど。
「ええ機会やから言うときますけど、俺はいつやってhydeさんとこうゆうことしたいって思ってますよ。」
前に立っていたhydeさんへと近づいて、顔へと手を添えて顔を近づける。
「えっ・・・・ちょ・・・・っ、んぅっ!」
明らかに怯んで慌てるhydeさんの唇をそのまま奪う。
罰ゲームのキスとは違う濃厚なキス。
俺やって男やからな、これくらいできんねんで。
抵抗して押し返してくるhydeさんの腕を掴んで道際の塀へと押さえつける。
そのまましばらく熱い口内を味わってから唇を離した。
「・・・・っは、はぁっ」
開放された唇で少しあがった息を整えながら顔を真っ赤に染めたままのhydeさんに、にやりと笑って手を放した。
「あんまりからかってると俺抑え効かんくなってまうっすよ」
念を押すように顔を近づけて告げてから、何事も無かったかのようにまた歩き出す。
以外と純な反応を返すhydeさんに、ちょっと自分でも優位に立てるかもなんてそんな甘いことを考えながら。
平静を保つ内面でちょっとだけ浮き足立つ。
「・・・・・てや・・・」
「え?」
小さく零したhydeさんの言葉に振り返った途端胸元を掴まれた。
「待てや言うてんねん!」
「えっ?えっ!!?」
未だ頬は紅く染まったまま、それでもいつものように有無を言わさぬ迫力の目線で俺を見据えたhydeさんは、半ば怒鳴るように叫んだ。
「俺やってほんまに嫌やったらいくら罰ゲームやってあんなことせぇへん!!」
「へ?」
とりあえず今の状況とhydeさんが吐き出した言葉の意味と、何一つ全てを理解することができないまま。
何時も以上に迫力のある目線で見据えるhydeさんの瞳に半ばうろたえながら、俺はぽかんと口をあけたまま聞き返す。
せやって、それって・・・・!!!
「は、hydeさん、あのっ・・・それって・・・」
聞き返した俺にhydeさんはふいっと顔をそむけて
「うるさい!さっきのお前生意気でムカツクからもうゆうたらへん!」
「え、ちょっ・・・hydeさーん!!」
俺の手を振り払って先を歩くhydeさんの後を何時ものように追いかける。
結局の所、やっぱり俺はhydeさんには勝てない。
優位に立てるかもなんて甘い考えは前言撤回。
けれどhydeさんの顔は未だ紅みを帯びていて、そんなことがちょっとだけ嬉しい。
先を早足で歩くhydeさんの後を追いかけながらちょっとだけ縮んだ距離に微笑んだ。
自分の想いが叶う日もそんなに遠くないかも。
そんなことを考えながらhydeさんの後を追いかけた。
end.
・・・・・・・・・・・・・・・・◆COMMENT◆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
TAKARAさーん!ドウモー(^^*
2周年記念と誕生日小説のお礼にと書かせて頂きました!
あれ・・・?(笑
当初はyasuくん格好良いまま終わるはずだったんですが・・・
おかしいなーwww
結局いつもの感じで終わってる辺りもう・・・不憫で仕方が無いorz
まあでも所詮はヤスハイなんてこんなもん(´∀`;
・・・・ということで許して貰えたらなぁ、と・・・orz
いつかちゃんと格好良いyasuを書ける時が来るかなあ。
そんな具合で毎度毎度なんの内容も無い話でごめんなさい(土下座)
2006.11.14
Heavenly Feathers 管理人