「可〜愛いぃ〜!」
俺の家に着いたhydeくんは開口一番にそう言った。
そんなhydeくんの目の前には我が家の愛娘パピヨンの"親方"。
来客をお出迎えした親方はその前にちょこんと座り小首をかしげている。
そんな姿が相変わらず動物好きなhydeくんにはたまらないらしい。
しばらくそこに立ちつくしたまま「可愛いー!」を何度も繰返していた。
まあ俺自身も自分のうちの子が誉められるのは嬉しいことで、ちょっと誇らしくなる。
「まあ、うちの子ですから〜」
hydeくんの言葉を真に受けて親バカよろしくちょっと締まりの無い顔。
けれどhydeくんは親方に夢中で俺の話など聞こえていないらしく、相変わらず親方のほうを輝いた目で見つめていた。
俺のこともこれぐらい見つめてくれたらええのに・・・、とちょっと溜息。
でも、ちょっとぐらいでめげてたら気まぐれなhydeくんの恋人は務まらへんねん。
夜はまだまだこれからや。今日はhydeくんと久しぶりに甘い夜を過ごすんや。
「とりあえず上がってや」
気を取り直し、いつまでも親方にかまっているhydeくんを促してリビングへと招き入れた。
「何飲みますー?」
「んー、なんでもええよ〜」
問いかけてもhydeくんからはそんな上の空な返事が返ってくる。
本当に親方に夢中らしい。
適当に見繕ってリビングへと戻ると、
ソファーへと腰を落ち着けたhydeくんの腕の中にはいつの間にか親方が居座っている。
「ああー、ほんまに可愛ええ〜」
親方を抱き上げたhydeくんはこともあろうに、親方の鼻の頭に軽く口づけた。
「あああー!?あかんー!!」
俺は慌ててhydeくんの腕から親方を取り上げる。
突然取り上げられたhydeくんは少しふくれて言い返してくる。
ううっ、なんて可愛い顔するんや。
hydeくんの表情にちょっと怯んだけど・・・でもあかんねん。
「hydeくんとキスしてええのは俺だけや!」
いくら可愛い親方でもそれだけは譲れへん。
断じて真面目に言い放った俺の言葉にhydeくんは一瞬呆け顔。
そしてすぐに笑い出した。
「はははっ、分かった分かった。」
”もうしないから返して〜”と腕を伸ばしてくる。
だから俺のこともそんな風に受け入れてくれればええのに・・・。
しかもなんや凄く適当にあしらわれてる気がする。
しぶしぶ親方をhydeくんの手元に戻すと、hydeくんは嬉しそうに親方の頭を撫でた。
「お前のご主人様は厳しい奴やなぁ〜」
言い聞かせるように言ったhydeくんの腕に抱かれたまま親方は首を傾げる。
hydeくんはそんな親方の仕草にまた”可愛い〜!”を連呼して、またしてもキスをした。
あああああ、さっきしない言うたんに〜・・・。(しょんぼり)
それからもhydeくんは親方に夢中なままで俺とのスキンシップはご無沙汰さん。
大好きなhydeくんが目の前に居るというのに、俺は暇を持て余してお先にシャワー。
シャワーを浴びながら小さく溜息。こんなんじゃあかんねん、がんばれ俺!!
ちょっと弱気な自分に一喝してからバスルームから上がる。
「hydeくんシャワー空いたでー?」
リビングに戻ると親方はもう眠ったらしくhydeくんの膝の上で気持ちよさそうに夢の中。
俺に気付いたhydeくんは抑えた声で「寝てもうたー」と親方を凄く愛おしそうに撫でた。
うう・・・俺にはそんな顔してくれへんのに・・・。
俺ってほんまは好かれてへんとちゃうん?流石の俺も自信喪失やわ。
寂しくなってソファーの裏からhydeくんの背後に回り、ぎゅっと抱きついた。
「どないしたんー?」
突然抱きつかれたhydeくんは苦笑いをしながら首を傾けた。
やっぱり自覚あらへんのかな・・・それもなんか寂しい。
もっと、ちゃんと意識して欲しいのに。
「hydeくん、全然かまってくれへんねんもん・・・」
「あ、はは、ついつい・・・」
ごめんなー、とhydeさんは小さく頬に口付けをくれた。
嬉しいけどまだ足りない。
離れていく唇に自分のそれを押しつけた。
久々すぎる熱い口付けを味わうように堪能する。
小さく声を漏らすhydeくんに相手の思考も緩んできたのを感じこのまま頂いてしまおうと、
そのまま唇を首筋のほうへと這わそうとしたら身体を押し返された。
「駄目」
あくまで抑えた口調で見据えてくるhydeくん。
「何でっ」
「しっ」
人差し指を立てたhydeくんは目線を膝の上の親方へと移す。
「親方が起きてまう」
「・・・・・・・・・!?」
ま、またしても親方に阻まれた。
「じゃあ、ベッド行きましょうー」
「えー、親方暖かくて気持ちええねん、もうちょっと」
えへ、と笑って親方を撫でるhydeくん。
「ベッドで俺が暖めてあげますって!!」
「えー、何かyasuくんは暑苦しいからええわ。」
「暑っ・・・・・・!!?」
確かにhydeくんと一緒だとついつい嬉しくてスキンシップの度を超えてる時も有る。
けど、それはhydeくんが大好きやからやのに・・・。
hydeくんからの打撃的な言葉に完全に落ち込みモード。
もおええねん、ふて寝したる。
hydeくんと向かい側のソファーに腰を下ろして、ごろんと横になる。
もおええねん。
折角久々に逢えたというのに、hydeくんは親方ばっかりかまってるし・・・。
俺はもっとhydeくんといちゃいちゃしたいのに。
クッションを抱きしめたままいじいじしていると、hydeくんは親方を起こさないようにソファーの上に寝かせて立ち上がった。
「じゃあ一緒にお風呂入る?」
「へっ?」
hydeくんからの申し入れに目を丸くして勢いよく身体を起こす。
聞き間違いじゃなければ一緒に風呂に入れるってこと?
一緒にってことは・・・・・・(---妄想中---)・・・・・・・・!!?
今入ってきたばかりやけど・・・でもこんな美味しい機会を逃すわけにはいかへん!
「はいるっ」
「馬ー鹿、冗談やっちゅーの」
俺が勢い良く返事を繰り出したのを見計らって鼻をきゅっと摘まれた。
hydeさんはしてやたりな顔で、べっと舌をだした。
は、はめられた・・・
しゅんとなってたらhydeくんが近くまで寄ってきて
「風呂あがったら可愛がったるからな〜」
”おとなしく待っとれよ”と極上の微笑みとオアズケ文句を残して。
ちゅっと一つ唇にキスをした後、軽やかな足取りでバスルームへと向かっていった。
「・・・・・・可愛がるのは俺やのに・・・」
変な所にツッコミを入れながら、不覚にも不適な笑みに紅くなる頬を抑えるように手で覆って。
オアズケさせられた理由の張本人・親方が気持ちよさそうに眠るその横で、
hydeくんが戻ってくるのを待つのだった。
end.
◆COMMENT◆
yasu君、ドンマイ!!(笑)
初の親方ちゃん登場小説です!
・・・どちらかというと私がドンマイですね・・・;;
またしてもyasu君がちょっと情けなくなってしまった。
でも楽しかったのでまた親方ちゃん登場小説書きたいです。
今回はhyさんが親方ちゃんにぞっこん愛でしたが、
親方ちゃんは色んな意味で大きなライバルになりそうですね。お互いに(笑)
動物って本当に愛着沸くんですよ。
一緒に居るとね、自分阿呆ちゃうかってぐらい可愛くて仕方なくなるんです。
もう一つ親方ちゃん登場小説で書きたいネタが有るので、そちらもいつか。
こんな幼稚な作品ですが楽しんでもらえたら嬉しいです。
感想やら要望やらも待ってます。(^^
2005.05.13
Heavenly Feathers 管理人
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