Natural trap ? (yasu×hyde)


スタッフから薦められたお店へ二人でやってきた。
料理も美味しいしお酒もおいしいらしく、
「送りますよ〜」と言ってくれたyasuに甘えて今夜はゆっくり飲ませてもらおう。

・・・そのはずだったのだけれど・・・

グラスの中のウーロン茶を転がすhydeの隣には、ぐでんぐでんに酔ったyasuがテーブルに突っ伏している。
ことの発端は小一時間前。

店に入って他愛も無い話をしていると、hydeの元へと一本の着信。
少し失敬して電話を取ると、着信の相手は久しぶりに話す友人だった。
久しぶりな所為も有り弾む会話。
ふざけ半分で「あんまり放っておかれたら寂しいで〜」なんて恋人のような言葉を投げかけて。
まあ長い付き合いだからそんな冗談を軽く笑って電話を切った。

「ごめんな〜」
笑顔のまま、ふと見やると憮然とした表情のyasuと目が合った。
「電話、誰からやったんですか?」
「え?」
多分本人としては隠しているつもりなのだろうけれど、明らかにトーンの低めの不機嫌声。
どうやら恋人まがいの会話をしていた電話の相手が気になるらしい。
どこまでも単純な奴やな、と関心するhydeの中でちょっとした悪戯心が起き上がる。
「んー・・・大切な人v」
「えっ?」
電話の相手は"大切"な友人、嘘は言っていない。
さりげなく笑って返事を返すと今度はyasuのほうが聞き返してきた。
そんなyasuに意味深な笑顔だけを返してグラスを手にとる。
一方yasuは明らかに凹んだ表情で顔を俯かせている。
予想通りの反応をするyasuの素直さが可愛くてたまらない。

そんな言い様の無い満足感を味わいながら、今日はyasuが送ってくれるらしいからお言葉に甘えてアルコールを・・・と思ったらそのグラスごと奪われた。
「は?」
聞き返す間も無く、yasuはグラスの中のアルコールを一気に飲み干した。

その後もハイペースでお酒を明かしていくyasu。
それから数時間後がこの有様。

結局、自分ではアルコールを口にすることなく帰宅の路。
本来なら自分が助手席に乗るはずだったyasuの車で、酔った彼を助手席に乗せて自分のマンションへと帰ってきた。
「送ります」とか言うといて何しっかり酒に飲まれとんねん。
車を駐車場に止め、助手席に居る酔っ払いを車から降ろしながら心中で愚痴をはく。
実際、事の発端は自分でもあるからちょっと遊びすぎたかなと申し訳なくもあったけれど・・・。
でも、ちょっと粉かけただけでこんなになるまで飲むなんてまったく予想もしてなかったから。
どこまで素直な奴なんだと逆に関心してしまう。

なんとか自分の部屋まで運び、とりあえず寝かせるようにソファーへと下ろした。
何かしら声を零すものの起きる気配は一向に無い。
覗き込むと少々切なそうに歪む寝顔。
「・・・・・夢の中でまで落ち込むなや〜」
その寝顔を見ながら、ちょっと苛めすぎたかな・・・と罪悪感。
相変わらずな目の前の相手に対してなのかそれともいまいち突き放しきれない自分にか、
どちらとも知れないため息を一つ吐いて、
「ベッドに運んだるか」
yasuの腕を肩に担ぎ引きずるようにベッドへと運ぶ。

よほど酔っているのか途中何やら寝言を言うもののまったく起きる様子はなくて。
ようやくベッドまでたどり着き徐に下ろし自分もベッドのふちへと腰掛けた。
「ったく、こんなんなるまで飲むなや」
あんなこと如きで。
「・・・ハイド・・さぁ・・ん・・・」
寝言を零しながら切なそうに眉を寄せるyasuにまた一つため息。
「別に俺やなくてもええやろ」
そうは言うものの、yasuに懐かれて嫌な気分になるわけではない事を自分でも分かっているから。
結局憎みきれないこの相手を自分も快く思っているのかなんて考えて。
「明日は優しくしたるかな。」
額に掛かる髪をさらりと撫でて、腰を上げた。
「んー・・・hydeさん?」
部屋を出て行こうとしたところをぼんやりとした声に呼び止められ振り向くと、
起きたらしいyasuがこちらを見ていた。
「あ、起きた?、水でも――」
"飲む?"と、ベッドのふちまで戻り身体を屈めたらいきなり腕を掴まれた。
「えっ、うわっ!」
そのまま腕を引かれて引き寄せられて勢いのままその腕の中に倒れこむ。
ベッドから降りようとするのを引き戻され、追い詰められていつの間にやら逃げ場が無い。
寝起きのせいか見つめてくる空ろな目線が妙に色っぽく感じてしまう。
腕を掴まれたまま硬直しているところに囁くように告げられた告白。
「俺の気持ち気づいてはるんやろ?そろそろ応えてや」
「・・・・っ!ちょ、待っ、」
寄せられる顔から逃げるように慌てて顔を逸らすがいとも簡単に向きなおされ、
見つめてくる瞳に怯んだ隙に唇を奪われた。
「っ!、ん・・・・」
以前、不意に奪われたそれとは比べ物にならないぐらい熱い口付け。
誘い出すような求めるような接吻に口内と共に理性までもが侵食されていく。
熱くて甘い口付けに痺れるような感覚さえ覚えて、いつの間にか流され始める意識。
「・・・んっ・・、ふ・・・・・・」
必死で理性を保ち抵抗を試みるも思った以上の力で掴まれて抵抗するにも抵抗できない。
全てを溶かすかのように続けられる口付けに自然と甘い声が零れて、
自分のものとは思えないそんな声にも煽られて顔が熱くなるのを感じた。
いつも以上に早鐘を打つ鼓動が煩いぐらいに聞こえてくる。
まずい、まずいまずいまずい!
本能的に感じた理性の崩れるであろう危機感に、唇が離れた隙を見計らいこの状況から抜け出そうといつものように強気に出ようとする。
「ちょっ、ばか!待てって言うてっ――」
「hydeさん・・・俺本気やねんで」
「・・・・っ!」
それなのに耳元で囁かれた甘い声に勝手に身体が竦んでしまう。
思い通りにならない身体と理性と。
込み上げてくる妙な感情に揺さぶられながら葛藤を繰り返す。
注がれていた接吻がだんだんと首筋に下りてきて思わず目を瞑った。
「・・・っ、いい加減にせぇっ!!」
伸し掛かるように覆いかぶさっていた身体を思い切り押し返して絡みつく腕からすり抜ける。
相手の表情など見る余裕も無くベッドから降り、慌てて寝室から抜け出した。
勢い良く閉めたドアを背にしてしばし固まったまま動けない。
しばらくしてやっと深く息を吐くと、気の抜けた身体はドアを背にずるずると崩れ落ちた。
「・・・・びっくりした・・・」
口をついて出たのはそんな我ながら情けない弱音で。
普段はちょっと情けないぐらいに自分に懐いてくる相手の違う一面に、こんなにもドキドキするなんて。
余りにも恥ずかしすぎて徐に頭を抱えた。
「・・・・――っ〜・・・///」
覆うように手をあてた頬が凄く熱い。
今自分がどんな表情をしているのかが鏡を見なくても分かってしまう。
結局心の安息はなかなか訪れてはくれなくて、
今や再び静寂を取り戻したドアの向こうに想いを馳せながら、落ち着かない気持ちのままで一夜を明かした。


*


「あれ?hydeさん?」

翌日、目を覚ましたyasuは呆けた表情でこちらを見た。
どんな顔して逢えばいいのか・・・なんて考えていたにも関わらず、いつも以上に呆けた表情を返してくれる相手に逆にこちらも拍子抜けしてしまう。
「もしかして、何も覚えとらんの?」
「えーっと・・・hydeさんとご飯食べに店に入ったぐらいまでは覚えてるんですけど・・・」
もしやと思い聞いてみれば案の定、最悪な答えが返ってきた。
眉間に皺を寄せながら考え込むyasuの態度から、どうやら嘘ではないらしいことが伝わってくる。
「本まに覚えとらんの?」
念の為もう一度聴いてみるがyasuはこくりと頷き、何が?とでも言いたげに首を傾げた。
こっちはあれだけ動揺したというのにこいつは・・・。
「え?昨日、俺何かしました?」
こちらの気も知らないで呆けた表情のまま悪びれもなく聴いてくるyasu。

・・・何だか癪に障る。

嗚呼、不覚にもこんな奴に迫られて動揺してしまったなんて。
自分の心の中だけにしまっておくにはちょっと重たすぎる事実を突きつけられながら、もう一度yasuのほうを見た。
いつまでも尻尾振ってついてくる可愛い後輩だと思ってたのに。
けど迫られてドキドキしてしまったなんて悔しいから、少し苛めてやろう。
またしても囁きだした悪魔の声に忠実に言葉を連ねる。

「・・・・最低ー。」

出来るだけ落ち込んだ表情で意味深な言葉だけを吐いて、ふいと顔を逸らし背を向けてやった。
「へ?・・・え?・・・えええっっ!?」
理由も分からず最低呼ばわりをされたyasuは、心外だと言う顔で驚いていた。
自分の中で沢山の理由を思い浮かべて葛藤していることだろう。
「hydeさん?え?俺何かしたんすか?」
慌てて取り繕うとするyasuだけれど、敢えて聞く耳は持ってやらない。
優しくしてやろうなんて思った矢先だけれどもうしばらく焦ったらええ。
そんなに簡単に堕ちてやるほど甘くは無い。

「hydeさぁーん?」

ちょっと情けないyasuの声を聞きながらいつものように満足する心の片隅で、
不覚にも動揺してしまった昨晩の事実に頭を抱えるのだった。

これから先の多難を予感しながら。




 end.




◆COMMENT◆

18000HITを踏んで下さったTAKARAさんへのキリリク小説です。

えー・・・
「格好良いヤスくんにドキッとしちゃうハイちゃん、でもやっぱり強気な姫」
というリクだったはずなのですが・・・。

ご、ごめんなさい!
yasuくん全然格好良無・・・むしろ本当に最低。
格好良いっていうか酔ってるだけじゃないですか、yasuさん。(爆
あああ・・・折角素敵なリクを頂いたのにいまいち生かしきれない自分が凄くもどかしい。

一応「Trap」とは繋がった話として考えてもらえたらと思います。
「Trap」でyasuくん弄んでたら、返り討ちにあうhyさん。
書いててちょっと楽しかった。(爆
あんまりyasuさん弄ってたらいけませんよ〜、みたいな。
酔った勢いネタではなくてちゃんと両思いにしてあげたいですね(^^;
なんかいまいちyasuさん格好よくなかったし・・・(痛)つ、次こそは!

TAKARAさん、長らく待っていただいた挙句にいまいちリクに添えてない作品でごめんなさい;;
良かったら貰ってやって下さいね。
返品受け付けますので、そしたら次こそ本当に格好良いyasuくん書きます(^^;;


2005.06.07
Heavenly Feathers 管理人


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