待ち合わせ (yasu×hyde)




携帯の向こうに響く呼び出し音。

「出ぇへんなぁ〜…」

相変わらず響く器械音を耳にしながら、hydeは小さく呟いた。
電話をかける先は、後輩でもあり恋人でもあるyasu。
電話をしているのも、もちろん用件があるからで。
本日予定していた待ち合わせ場所と時間を変更してもらおうと、hyde直々にyasuの携帯へと電話をかけていたのだった。
だが、いつもならワンコールし終わらないうちに飛びつくように電話に出るyasuが今日はなかなか電話に出ない。

「まいったなぁ〜・・・」

そう小さく零して、数回目の電話をまたしても切ろうとした時、ふいに音が途切れた。

「あ、出た」

ところが電話の向こうからは、いつもの勢いの良い声ではなく…。

『もしもし』
「あれ?・・・ka-yuくん?」
『はい、今アイツ席はずしてて…えらい長い事鳴ってたんで画面見たらhydeさんで、あいつ今日待ち合わせしとる言うてたからその事かなと思って勝手に出てもうたんですけど…』

少し緊張気味に離す相手に、hydeは柔らかく返事を返す。

「ほんま?助かったわぁ〜、yasuに伝えてほしいねんけど…今日ちょっと仕事の予定変更になって長引きそうやねん。で、時間と待ち合わせ場所変えて欲しいねんけど…――」

助かったとばかりに、hydeはyasuに伝えようとした用件を連ねた。

「分かりました、伝えます。yasuもうちょいでかえってくる思いますけど」
「いや、ええわ、なんやうるさいやろし」

そう言って笑うhydeにka-yuも同意しながら笑う。

「あ、じゃあ、お願いね。ありがとう。」

用件を伝えてもらうお礼を告げてから電話を切った。
ka-yuから聞いたyasuの様子を思い浮かべて、やっぱり逢うの楽しみにしてくれていると実感する。
そんなことを思いながら小さく笑って、仕事へと戻った。



*



「あー…だいぶ遅れてもうたー」

思ったよりも長引いた仕事に、少しyasuへの罪悪感を覚えながらhydeは足早に変更した待ち合わせ場所へと向かった。
冬も本番、やっぱり外は寒い。

「あれ……?」

待ち合わせ場所に着いたhydeは、息つく暇もなく辺りを見渡しそんな声を零した。
いくら見渡してもyasuの姿はなく、ふと気づいたようにhydeは携帯を取り出した。
仕事が終わってから慌てて此処へと向かったから、そういえばあれから携帯を開いていない。
携帯を開くと案の定沢山の着信履歴が残っていた。
もちろん名前はyasu。
慌てて電話をかけなおすと、相手はすぐに出た。

「もしもし、yasu?今――・・・・・・」
「hydeさんですか!?」
「えっ?」

いいかけた言葉を遮って向こうから声が返って来た。
だけどそれは聞きなれたyasuの声とは違う声。

「hydeさん?すんません、俺yasuちゃいます。ka-yuです。」
「え?あれ・・・・・・?」
「実は、行き違いで伝言伝える前にyasu帰ってもうたみたいで・・・・・・しかもアイツ携帯忘れて行きよって。」

咄嗟に状況が飲み込めず混乱するhydeにka-yuは説明するように更に続ける。

「とりあえずhydeさんに連絡せな思うて、勝手やけど電話かけさせてもろたんですけど・・・」

緊張しているのか説明しながらも少ししどろもどろなka-yu。
そんなka-yuの話を聞きながら、hydeの頭に浮かんだのは待ち呆けるyasu。
相手が相手だけに、あいつなら有り得るだけに心配になった。

「hydeさん?」

突然静かになってしまったhydeにka-yuが心配そうに声をかける。
その声に我に返りhydeは慌てて返事を返した。

「あ、ごめん……あー、ありがとね。ごめんねお手数かけさせてもうて。」

丁重にお礼を言ってから早々にka-yuからの電話を切り、hydeはyasuの待つであろう最初に約束をした待ち合わせ場所へと車を走らせた。
冬も本番、外の空気は肌を刺すように寒い。
目的の場所へとたどり着いたhydeは車を止め待ち合わせの公園の中へと走っていく。
吐く息の白さが、夜の寒さを物語る。

いくつかの街灯だけの少し薄暗い公園内。
待っているであろう場所は検討が着いていた。
案の定そこに人影を見つけて叫んだ。

「yasu!!」

呼びかけた声に顔をあげたyasuは、一瞬ほっとしたような表情を見せた後、いつもみせる笑顔で笑った。
それが無性に居た堪れなくて、心がちくちく音をたてて痛んだ。

「阿呆かお前はっ!何っ……何、こんなに待っとんねん!!」

突然怒鳴られたyasuは意味も分からずに驚いていた。


「携帯忘れてきてもうて」

ちょっと情けなく、ハハハと笑うyasu。

「電話したらka-yu君が出て聞いた!」
「あ、ほんますか?ならよかった」
「…っ、そうやなくて!なんで携帯とりに戻ろうとか、帰ろうとか思わんかったんやって聞いとんねん!」

どうしてこんなに必死に怒っているのかhyde自身も分からなかった。

「hydeさん来る思うてたし、携帯取りに戻ろうとも思ったんやけど、もしhydeさんとすれ違いになったらhydeさん待たしてまうし……て思うて。」
「……それで、こんなにも待ってたん?」
「あ、はい」
「…っ、阿呆か!」
「痛っ!」

頷くyasuを観てたら余計に腹が立ってきて、その頭をペシリと軽く叩いた。

「痛いっすよ〜hydeさぁ〜ん…」

そんな情け無い声を漏らすyasuにhydeは一つ大きく溜息を吐いてから、冷たくなった頬へと手を伸ばした。

「寒かったやろ?」
「全然平気っすよ。」

無茶を無茶と思わずに、本心から微笑んでくるから余計にタチが悪い。

「俺は自分が寒いよりも、hydeさん寒空の中待たせるほうが嫌っすから」

そう言ってニッと笑ったyasu。

「あ、せやけど寒かったんはほんまやし、抱きしめてもらえたら…」

冗談交じりでそんな事を言うyasuに、その言葉を遮って望みどおりに抱きしめてやった。
・・・正しくは”抱きつく”形ではあったけれど。

「えっ・・・」

まさか本当にしてくれると思っていなかったのか、言い出した本人であるにも関わらず慌てるyasu。
そんなyasuに追い討ちをかけるように、hydeはその唇へと軽くキスをした。

「っ………///!?」
「最後のはオマケやで。」

明らかに動揺するyasuを見て不敵に笑ったhydeは、そう言い放つ。

「あ、ありがとう、ござい、ます……///」

頬を真っ赤に染めてお礼を言うyasuに満足そうに笑って。
抱きついていた腕と体を離し、冷たくなってしまっている手にそっと手を添えyasuを見上げる。

「帰ろ。」

そしてもう一度繋いだ手にキュッと力を込めた。





 end.


・・・・・・・・・・・・・・・・◆COMMENT◆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ごめんなさい、読んでいて分かったかと思いますがお話の背景…冬です!!!゚∀゚)・∵. ガハッ!!
すすすすすすすみません、7月にもなりこんなウザイ暑さに悶々とする時期にこんな季節ハズレな…orz
掘り出し物なので、ご了承頂けたらと…(´Д`;)

そんなこんなでヤスハイ。
hydeさんの為なら何時間でも何日でも(笑)待てるyasuと、
そんなyasuに呆れながらもやっぱりなんだかんだで嬉しいhydeさん。ww

まあ、どんどんhydeが男前になり、yasuが女々しくなりますが…
これはヤスハイなんだと言い張ります!!!!
ヤスハイって…そういうものですよね…?w



2007.07.01
Heavenly Feathers 管理人


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