◆「the sun where it was hungry」 TAKARA様より頂きました◆
「二人の居場所」
もう一ヶ月もhydeくんに会ってない。
この頃は電話にも出てくれへんし、メールの返事もかなり遅れて返ってくる。
忙しいのは分かってる。
俺やってライブ前やし、そんなに頻繁に連絡入れてる訳やない。
会いたいのを必死で我慢してるんやで、せめてメール位まともに返して欲しいって思うやんか、・・・hydeくんは俺に会えへんで寂しいないんかなぁ?
電話もメールもいつも俺から、hydeくんから電話やメールをしてくる事なんて皆無にちかい。
ほんまに俺ら恋人なんやろうか?
「yasu、今日のリハちょっと早う終わらせて飲み行かへん?」
ka-yuとyouちゃんが携帯を握りしめながら深い溜息を付いてる俺に話し掛けてきた。
「yasu、この頃ストレス溜まってるやろ?たまには息抜きしに行こうや。」
「そうやな。」
どうせ俺の仕事が早く終わっても、hydeくんの仕事が遅かったら会えへんしな。
「yasuぅ〜、お前hydeさんとどうなってるん?」
酔ったka-yuが俺にからんできた。
「どうって付き合ってるで。」
たぶんって思わず語尾に付けそうになる。その位今の俺とhydeくんの仲は微妙や。
「会ってんの?」
「・・・」
youちゃんが心配そうに俺を見つめながら問うけど、俺は何も言えないでいた。
「会ってへんのか?まあ、あっちは大もんバンドやさかい忙しいくて、お前なんかに構ってる暇なんかないよなぁ?」
「ka-yu、お前俺に喧嘩売ってる?」
酔った奴相手に怒ったってしゃあない事は分かってるけど、自分で思っていた事を口に出されるとやっぱりむかつく。
「お前よう我慢出来るなぁ、まだ30やのにずっと禁欲かぁ?hydeさんはキープしといて彼女でも作った方がええんちゃう?どうせあっちは結婚してて、お前とHせえへんでも家で出来るんやし。」
「ちょ、ka-yu何言うてんねん。」
youちゃんが必死でフォロー入れようとしてるけど、もう遅い。
俺は何も言わず、店を出た。
あのままおったら殴ってたろうな。
でも、ka-yuの言う事はもっともや、hydeくんには奥さんおって、別に俺何かおらへんでも寂しい訳やないんやから・・・。
たまには女抱くんもええかもな。
どうせ会えへんねんから・・・。
俺は街で引っ掛けた女を自分のマンションに連れてきて、いつもhydeくんを抱いているベッドで女を抱いていた。
久々やなぁ、hydeくんとは違う体を貪るように愛撫する。
Hydeくんとは違う喘ぎが部屋に木霊していく。
その時やった、最悪な事って起こるもんやなぁ・・・。
「・・・yasu・・・。」
寝室の扉が開き、そこにずっと会いたくてしかたなかった彼が立ち尽くしていた。
「ハ、hydeく・・ん。」
「・・・どうして?」
リビングの照明が逆行になってhydeくんの顔はベッドの俺の位置からは見えなかったけど、彼の声は涙声やった。
Hydeくんは居たたまれなくなったんやろう、寝室の扉を乱暴に閉めバタバタと玄関へ走っていった。
俺は急いで服を着て、「悪いけど帰って。」と女に言ってhydeくんを追いかけて部屋を飛び出した。そんな俺に女は何か叫んでいるけど、そんな事どうでもよかった。
マンションを出ると、車に乗り込もうとしている彼を見つけ、急いで駆け寄り腕を掴んだ。
「待って。Hydeくん。」
「離せや。」
hydeくんは泣きながら俺を睨みつけていた。
「ごめん・・・俺・・。」
「yasuが何しようが俺には関係ない。もうyasuなんかしらへん・・・女でも誰でも勝手に連れ込んだらええやんか。」
「hyde・・くん・・。」
関係ないって言いながら、それでも彼の大きな瞳からは涙が後から後から溢れ出して止まる気配もない。
俺なんちゅう事してもうたんやろう、後悔でいっぱいになる。
Hydeくんに会えない寂しさを女で埋めようなんて・・・ほんまアホや・・。
「離せやっ。」
「hydeくん話聞いて。」
俺はhydeくんの腕を引っ張り、彼を自分の胸に閉じこめるようにきつく抱きしめた。
「・・・何を聞け言うんや?もう俺なんかおらんでも構へんのんやろ?」
「そんな事ない、女連れ込んだ事は謝るからっ、関係ないなんて言わんといて。」
「許せる思うんか?」
hydeくんは俺の胸を押して、体を離しキッと俺を睨み付けた。
「別れよう。」
「hydeく・・ん・・・。」
「yasuが浮気する位、俺お前に寂しい思いさしたんやろ?」
そう言ってhydeくんは車に乗り込み俺の前から消えて行ってしまった。
俺はその場にいつまでも立ち尽くしてしまっていた。
たった一回の過ちを恋人に見られてしまうなんて、ほんまついてへんな。
折角、hydeくんが会いに来てくれたのに、・・・自分だけが会いたいと思ってた訳やなかったのに・・・。
ちゃんとhydeくんは俺のこと考えてくれてたのに、だからこんな遅くなっても会いに来てくれたのに・・・俺は何してんねん。
あの日から電話もメールさえも拒否されたまま時間ばかりが経って行った。
何度もhydeくんのマンションに行ったけど、きっと自宅に帰ってるんやろう全く会えない。
もう会えないんかなぁ?もうhydeくんは俺の事なんかどうでもええんか?
そんな事ばかり考えてしまって、全然ライブのリハに身が入らない。
このまま駄目になんか絶対させへん。
俺はhydeくんがおらへんと駄目になってまいそうなんや。
今まで絶対やったあかんて思ってたけど、hydeくんがつかまらへんねんからしゃあない。
俺は彼の自宅の近くに車を止め、彼の帰ってくるのを待っていた。
ここが彼の本当に帰ってくる家だと思うと切なさが込み上げて来る。
綺麗な奥さんと可愛い子供、絵に描いたような幸せな家庭。
彼を待ちながら、ふと自分の行動が馬鹿みたいに思えてきた。
「やっぱこんな事どんな理由があったってやったあかんよな。」
エンジンを掛けようとした時、彼の自宅の前に車が止まった。
中からhydeくんが降りてきて、中にいる人物と一言二言言葉を交わし、車は走りさって行った。
その様子を車の中から見つめ、hydeくんの元に行こうかどうか悩んでいると、彼が俺の車に気付き近づいてきた。
やっぱ怒られるんやろうな。
俺は覚悟を決め、車を降りた。
「こんなとこで何してんねん。」
「・・・ごめんなさい、俺hydeくんに会いたくて。」
少し困惑したような顔をしているが、怒っているような感じはない。
「ごめん、会いたいからって自宅に来るなんて反則やね。」
「何で・・もう別れるって言うたやんか。」
「俺はいやや。」
俺はhydeくんの腕を引き寄せ、その体を抱きしめる。
自宅前でこんな事されて彼が困る事は充分分かってる。もしかしたらファンの子に見られるかもしれないんやし。
「yasu、何すんねん。」
hydeくんは俺の胸をはねつけ、俺から離れていく。
「hydeくんはもう俺の事なんかどうでもええん?」
あんな事やっておいて勝手な事言うてるよな、俺って。
「俺に何て言わせたいん?」
hydeくんは俺を睨み付けるように見つめ、冷静な口調で言う。
そんな言葉が返ってくるとは思わんかった。
何て言わせたいって敢えて聞かれると困ってまう。
言って欲しい言葉はたった一言なんや。
「yasu、車で話そうか・・・。どっか連れて行ってよ。」
hydeくんはそう言って、助手席に乗り込む。
展開がよく分からなかったけど、俺も車に乗り込みチラリとhydeくんを見てから車を走らせた。
「何処か行きたいとこある?」
「ゆっくり話出来るとこ。」
「じゃあ俺の部屋でもいい?」
「yasuの部屋はいや。もうあの部屋には行きとうない。」
穏やかな口調やけど、やっぱかなり怒ってる。
浮気を見つけた場所なんてイヤに決まってるよな。
そう思い、俺は街中を抜け、人気の少ない山道を流した。懐かしい、昔はよく大阪や京都を流してたなぁ。
俺は丁度夜景が綺麗に見える場所に車を止め、hydeくんの顔を見つめる。
いつも思う、何て綺麗な人なんやろうって。
恋人になれた事さえ夢だったんやないかって、朝目覚めるたびに思っていた。
「hydeくん、ごめん。どうしたら許してくれる?」
「・・・」
俺の問いにhydeくんは何も答えず、ただ夜景をまぶしそうに見つめていた。
「hydeくんを愛してるんや・・・。」
「じゃあ何で女抱いたん?」
夜景を見つめたまま、hydeくんは俺に問いかけて来た。
「俺にお前責める権利なんかないと思ってる。元々男が好きな訳やないんやろうから、女と付き合ったってかまへんって思う。・・・でも、俺勝手かもしれへんけど、あのベッドで女抱いてほしいなんてなかった。Yasuの家と俺の仕事部屋だけは二人の居場所やって思ってたんや。・・・せやから俺は嫁を仕事部屋には入れへんかってん。最低のルールや と思ってたから。」
「hydeくん・・・。」
今更ながら自分の愚かさが恨めしい。
彼がこんなに自分との事を考えていてくれたのに、俺は一時の寂しさから彼を裏切ってもうたんや。
振られて当たり前やな。
「ごめん、俺・・・hydeくんが俺の事そんなに大事に思ってくれてたなんて気づきもせんで・・・。もう許せへんよね・・・。」
「許せへんって言ったら?」
hydeくんはまだ俺を見てはくれへん。
「hydeくんが許せへんって言う気持ち分かるから・・・。」
戸惑いながら言葉を口にする。
もう許してなんて言えへんよな・・・、俺はhydeくんの気持ち踏みにじってもうたんやから・・・。
今更ながら後悔でいっぱいや。
何であんな事してもうたんやろう。
「yasu、送って。」
「う、うん。」
hydeくんは結論を出さず、俺をチラリと見て、再び外の夜景に目を向ける。
今日がhydeくんを近くで見ることの出来る最後の日になるんやろうか?
そう考えただけで胸が異常に苦しい。
「自宅・・・だよね・・。」
当たり前の事を敢えて聞いたりして、時間を引き延ばそうとしている自分が妙に滑稽だ。
「違う俺の仕事場のマンションに送って。」
「え?」
「朝まで側にいてくれるんなら、・・・今回だけは許したる。」
え?
俺は驚き過ぎて、きっと変な顔をしてる。
今彼は何て言った?
「ハ、hydeくん?」
「今回だけ・・・やで。」
hydeくんが、やっと俺の方を向いてくれた。
まだ少し不機嫌そうではあるが、やっと正面から俺を見てくれてる事が嬉しくて仕方ない。
俺は彼に腕を伸ばし、その体をそっと抱き寄せた。
もう駄目やと思って諦め掛けていた気持ちが嘘みたいに幸せな気持ちへと変化していく。
もう絶対にこの人を裏切ったりしいへん。
「悔しかった、yasuの事ほんまに好きやから、女がyasuに触れてるん見て・・・。」
「ごめん・・。ほんまごめん。」
「俺の事なんか遊びだったんやないかって・・悲しゅうて・・。」
hydeくんの声がどんどん涙声になっていく。
いつもはメッチャ冷静で俺の方が不安になるほど淡泊なのに・・・俺はほんまのhydeくんを見てなかったんかもしれへん。
ほんまはhydeくんも俺と同じで不安でいっぱいだったのかもしれへん。
「遊びな訳ない、ほんまに愛してる。Hydeくんが好き。」
「浮気したくせに・・。」
「言い訳にしかならへん思うへど、会えんで寂しかってん。Hydeくんに会えへん寂しさはhydeくんでしか埋まらへんのに・・俺馬鹿やから・・・。」
彼を抱く腕に力を込める。
俺の気持ちが伝わったのか、hydeくんの腕が俺の背中に回って、きゅっと抱きしめ返してくれた。
「ごめん、もう泣かせたりせえへんから。」
「うん・・・。」
hydeくんは頷いた後、今日初めての笑顔を俺に見せてくれた。
涙で潤んだ瞳がキラキラとしてほんま綺麗や。
その笑顔に見とれて惚けていると、hydeくんが少しニヤリと笑ったような気がした。
「yasu、反省した?」
「え?は、はい。」
「じゃあ、引っ越せよ。」
え?引っ越せって?何を?・・・もしかして
「マンションっすか?」
「そう。」
hydeくんは今すっごく嬉しそうな顔をしている。俺が困った顔をしているからやよう。
まだ今のマンション入ってそんな経ってへんのにぃ(T_T)
「俺のマンションの横の部屋空いてるで。」
「そ、そうなん?・・・・でも・・・。」
引っ越しってめんどいねん・・・けど、引っ越しせえへんなんて言ったらhydeくん、俺んち来てくれへんやろうし・・・。
「わ、分かりました・・・引っ越します。」
「ベッドも捨ててな。俺が引っ越し祝いにプレゼントしたるから。」
hydeくん実はメッチャメッチャ怒ってるやろ〜。
この人怒らしたらあかんって今本気で思った(溜息)。
でもhydeくんの仕事部屋の隣なら、もう寂しいないかも。
何かこれってプチ同棲?う、嬉しいかも・・・。
「これで、yasu浮気出来へんやろ?」
あぁ・・・そういう事っすかぁ‐‐;
「もうしぃへんって。」
「男の浮気なんかゴキブリと一緒や、一回見つけたら何回も余罪が出てくんねん。」
hydeくんやって男やんかぁ〜。
俺絶対hydeくんに信用なくなってもうたんやろうなぁ、仕方ないんやけど。
それでも別れんですんだだけええか。
「hydeくん、ほんまにもう浮気なんかせえへんから。」
俺はそう言って、hydeくんにそっとキスをした。
やっぱ女なんかよりhydeくんとのキスんが数倍気持ちええわぁ。
もう触れさせて貰えない思うとった。
俺は味わうようにhydeくんの唇を割り舌を絡めていく。
Hydeくんもそれに答えるように舌を絡ませて、キスは徐々に深いものになっていく。
時折hydeくんが気持ちよさそうに、吐息を漏らす。
それが俺の下半身にダイレクトに響いていく。
我慢きかんくなりそう。
唇を離し、彼の首筋に唇を持っていくと、「続きは、俺のマンションでな。」と釘を刺される。
やっぱhydeくんのが一枚も二枚も上手やなぁ。
俺きっと一生尻に敷かれっぱなしなんやろうな・・・。
「帰って早う俺を抱いて・・・。」
hydeくんはまるで俺を煽るように耳元で囁く。
ほんま我慢できへんなるやんかぁ。
「そんな挑発してたら後悔するんやで、今日は朝までずっと抱いたるんやから。」
「うん。早う帰ってyasuを頂戴。」
hydeくんは少し赤くなりながらも色っぽい笑顔と声を俺にくれた。
もう放さない、もう裏切らない、もうあなたの気持ちを疑ったりしない。
Hydeくんは誰のもんでもなく、俺のもんや。
俺は急いで車を走らせた・・・もう一度あなたを俺だけのものにするために・・・。
end.
◆COMMENT◆
TAKARAさんのサイトで1500番を踏ませて戴いて、書いていただいた小説です。
「切なくて最後は甘甘」という趣味丸出しなリクに応えて戴きまして有難うございます!
すれ違い具合がほどよく切なく、やっぱり最終的には甘くおさまり・・・
そしてやっぱりマンションに帰ったら、yasu君に美味しく頂かれちゃったって事ですか!(悦)
もう私からは何も言わせていただくことなんて無いぐらいに美味しく堪能させて貰いました。
おなかいっぱいです(^^*
いきなり、「引っ越せ、ベッドは捨てろ」とあくまで強気なhyちゃんがなんとも素敵です。
やっぱりヤスハイはこうでないと!hyちゃんの信頼取り戻すためにも頑張れ、yasu君!!
あ、でもベッドはhyちゃんから頂けるから、そのベッドでまた二人の思い出を作っていくんですね!(ぇ)
ヤスハイ好きーな皆さん、ここぞとばかりに悶えてください。
そして二人の目眩く官能の夜(TAKARAさん談)を想像しましょう(^^*
そして妙に「お隣ネタ」に悶えました。お隣さん良いなぁー、プチ同棲ですかー!?
あああ、どんどん萌えが襲ってきますね。(笑
TAKARAさん、本当に有難うございましたー!
またキリ番踏み踏み頑張ります!!
2005.04.17