amulet (yasu×hyde)


「hydeさんっ、むちゃくちゃ良かったです!!」

ライヴ後の楽屋の中、yasuの興奮した声が響く。

「ありがとお」

ライヴ中の果敢な姿もどこへやら、ほにゃりとした笑みを浮かべてお礼を言うhydeに、yasuは堪らずに抱きしめた。

「もおーほんっまに大好きですーーー!」

上機嫌のhydeは、あはは、と笑いながら受答えをする。
そんな様子を見ていたtetsuが、hydeに抱きつくyasuの体をぐいと引き戻した。

「ちょお、うちのボーカルにちょっかい出さんでくれる?」

厭味まじりに言ったtetsuの言葉さえも、興奮するyasuには届かずに。

「tetsuさん!tetsuさんもむっちゃ格好良かったっす!
 あーっ、もうほんまうちのka-yuにも見せたりたかったっす!!」

そんなyasuの無邪気なまでに興奮した物言いにtetsuも怒りの矛を折られたようで、呆気にとられた顔をした後に苦笑いを浮かべていた。
hydeはそんな二人のやりとりに小さく笑ってから、yasuを楽屋の外へと促した。




「よう見にきたな、自分らの所忙しかったんちゃうの?」

人気の無い休憩室。
yasuの隣に腰掛けながら、hydeは問いかけた。
yasuはyasuで自分のバンドがライヴを控えていることをhydeも知っていた。
そんな忙しいであろう時期にわざわざ見に来てくれたことを嬉しく思いつつも心配もあった。

「hydeさんからの招待やったらどんだけ忙しくても来ますよ!」

hydeの心配など知る由も無く、yasuはいつものようににっこりと笑いながら答えた。
そんなyasuの笑顔を見たhydeは心中でほっと安堵のため息をつく。

「そっちはどう?順調?」

聞けばいつものように一生懸命に話をしてくれるyasu。
その様子を見ているだけでhydeの心はほんわりと和んで言った。

けれど、いつまでもこの心地の良い空間にとどまっている訳にも行かない。
ツアー本番を控える今、前もってしなければいけないことは山のように有る。
それは同じくツアーを控えるyasuのほうとて同じこと。
名残惜しくも、こうしていられる時間はリミット切れとなった。

「んー・・・そろそろ戻らな」

壁に備え付けられた時計を見て、hydeは腰を上げた。
それに続いて腰を上げたyasuの腕がhydeを包み込む。

「yasu?」

本来ならこんなところでこんなことをしていたら大事なのだけれど、
拒むことなくその腕に抱かれたままhydeは聞き返した。
ぎゅっと抱きしめる腕に問いかけてみても返事が返ってこない。
ただ、抱きしめる腕の暖かさだけが響いてくる。

「どないした?」

宥めるように背中をぽんぽんとたたいて、そっと頭をなでる。
一向に抱きしめる腕を放そうとしないyasuにやさしく聞き返した。

「お前も色々せなあかんことあるやろ?」
「・・・せやって、今日別れたらしばらく逢われへんもん」

肩に顔を埋めたまま小さくつぶやいたyasuの声は、まるで拗ねた子供のようで。
hydeは思わず小さく笑ってしまった。
それは可笑しいからではなくて、そんなyasuの一面が凄く可愛いから。
そんなhydeをyasuはむくれた表情で恨めしそうに見た。

「ガキやと思ってはるでしょ?」
「いやいや」

けれどそう否定するhydeの表情はやっぱり笑みを浮かべていて、yasuはふいと目線を逸らした。

「別にガキでもええですよー」

目線は逸らしてもなかなか抱きしめる腕は放してくれない。

「てっちゃんに見つかったらまた厭味いわれんで?」
「・・・hydeさんは寂しいないん?」

yasuからはまったく違う質問が帰ってきて。
その頭の中にはもう他の人のことを考える余地なんてないらしい。
そんな一途な一面が、またhydeの表情を綻ばせた。

一呼吸置いて、hydeはさらりと言った。

「寂しくないで」

一瞬ぴくりと体を震わせたyasuに、笑顔で言い放つ。

「せやって、yasuは逢いに来てくれるんやろ?」

その一言に呆けた顔をあげたyasuは、続いて笑った。





「yasu!」

帰り際、hydeはyasuを呼び止めた。
振り向いたyasuに向かってhydeは手にしていたものをふわりと投げる。
緩く弧を描いてyasuの手中にとどまったのは、hydeが愛用しているサングラス。

「え?」

渡されたそれとhydeのほうを見比べるyasu。

「おまもり。なくすなよ!」
「あ、ありがとう」

感極まった表情でお礼を言うyasuにhydeは満足したように笑みを浮かべた。

「ライヴ、お互いがんばろうな」
「はいっ!」

勢い良く返事をしたyasuの手には、しっかりとそのサングラスが握られていた。



逢えないのは寂しいけど、また一回り成長した自分で逢えるならそれも悪くない。
それに、また笑顔で逢えるのはそんなに遠い日じゃない気がするから。


だからその日まで歌を唄おう。

精一杯の想いを込めて。



 end.




◆COMMENT◆

えー時期外れ・・・ていうか、かなり出遅れてますが(苦笑)

AWAKE前夜祭にyasuくんが来ていたことに猛烈に悶え、JOKERツアーでサングラスをして出てきたyasuさんを見て、そのサングラスがhydeさんからの頂き物だったらいいなぁ・・・という妄想を裏友さんと繰り広げた末にできた作品です。
いや、でも、サングラスをyasuさんライヴ中に失くしてたらしいので、有り得ませんが。(爆)

どっちのツアーも終わっちゃって、かなり時期はずれですが。
パソコン壊れたりで更新する時期を逃し・・・
もうこれ以上時間がたってもどんどん出しづらくなるだけなので(笑)
今更ですが載せさせていただきました。

とりあえず、HALLOWEENライヴにyasu君が見に来ることを猛烈に期待して待ってます。


2005.10.23
Heavenly Feathers 管理人




◆簡易メールフォーム◆
ご意見、ご要望・ご感想等ありましたらどうぞ(^^




不都合が御座いましたら、お手数ですが下記アドレスまで。(コピー&ペースト)
feel_heavenly_white_feathers@hotmail.com


<<戻る。