Give and Take ? (yasu×hyde)
Give and Take ?
キッチンにて意気込む男が一人。
目の前にはボウルやらヘラやら調理器具、そしてチョコレート・・・。
来たる14日。
男たるもの、やっぱり気になる人からチョコを貰うということは一瞬のロマン でもある。
それはyasuとて同じこと。
ただ少し問題なのが、その相手。
yasuが熱烈な愛を捧げ、恋い慕う相手はご存知のとおり、hyde。
これまで幾度となくアタックをかけてきた相手。
けれど毎回うまい具合に交わされてきた。
全く相手にされないのなら諦めざるをえないのだが、なにしろhydeは否定するでもなく肯定するでもない。
なんとも絶妙な態度なのだ。
hydeからチョコを貰いたい。
そう思う半面、これまでの経験上それはなかなか難しいことだと、yasuは我ながら寂しくも身をもって熟知していた。
散々試行錯誤した後にたどり着いた答え。
「貰えへんなら、渡したる・・・!」
夜のキッチンにて再度意気込みを延べ、yasuはヘラを握った。
*
「じゃあ、仕事終わったら迎えにいきますねv」
意気揚々としてyasuは通話をきった。
もちろん電話の相手はhyde。
テーブルの脇にはバックや煙草と一緒に昨日作ったチョコレート。
この日のために以前から、さりげなく予定を聞いて逢う約束をこぎ付けていたのだった。
今日逢いたいという意味を理解してくれているかどうかは別として、hydeに逢えるのはyasuにとってこの上ない幸せ。
(今日の声も可愛いかったな・・・・)
携帯を見つめながら、先ほどまでの会話を思い出せば自然と顔がにやける。
そこへ外から戻ってきたベーシスト、ka-yu。
「おー、なんや早速貰ったんか?気が早いファンもおるんやなー」
「へ?」
そんな問いに振り返った時には遅く、ka-yuがテーブルの端に置いてあったそれを手に取った後だった。
そしてka-yuは無造作に包みを破り中のチョコを取り出したかと思うと、チョコを一欠け噛った。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
yasuは、あんぐりと口を開けたままその光景を見つめるしかなかった。
しかし、はっと我に帰りわなわなと奮えだす。
「ちょ、お、おま、何すんねーーーーーん!!!」
ka-yuの胸倉を掴み一気にゆする。
「今吐け!すぐ吐け!!全部吐けー!!!(え)」
そして、慌ててka-yuの手からチョコを奪い返すとその場にヘタリと座り込んだ。
「は。な、何?本命?」
「本命も本命、大本命や!ボケ!!」
さして悪気もなさそうに聞き返してくるka-yuをキッと睨みあげ、
「せっかく・・・せっかく、hydeくんに渡そ思って作ったんにーーー!!!」
悲嘆するyasuの横で、その原因の張本人であるka-yuが逆にぽかんと驚きと呆れた顔でyasuを見る。
そして、続いて、ぶはっと盛大に噴出しお腹をかかえての大笑い。
「はっ、おまっ、何やっとんねん!!チョコ作ったって・・・・ははははははははっ!」
ウケるー!だの、キモいー!だの、お世辞にもほめ言葉とはとりがたい言葉を吐きながら笑うka-yu。
そんなka-yuの態度にyasuの中で何かがキレる。
「こんっの・・・っばかーゆ!!一回逝ね!!!帰る!!」
鳩尾辺りに一発拳をお見舞いしてから、荷物を手に取るとその部屋を飛び出した。
*
自分達のスタジオを後にし、hydeのスタジオへと向かったyasu。
hydeを待つ間、ちらりとラッピングの崩れた箱の中を見てみる。
そこにはまぎれも無く、くっきりと欠けたチョコ。
(やっぱり、夢やない・・・)
形の変わったソレと崩れたラッピングに、はぁとため息を零した。
「あんの、ボケ・・・」
「誰が、ボケなん??」
少し遠いとこから思いもよらない返事が返ってきた。
「は、hydeさん!」
yasuは慌てて持っていたチョコを後ろ手に隠す。
”どないしたん?”と首をかしげるhydeに”なんでもないです”と首を振り、なおも首をかしげるhydeに笑顔でごまかす。
(渡されへんやん、こんなん!)
「チョコレート・・・」
「へっ!?」
hydeからその言葉が出た途端、思わず慌ててしまう。
「yasuも、いっぱい貰ったんやろ?」
幸いにもhydeは慌てるyasuを気に留めることもなく言葉を連ねた。
ああ、そういうことか、とyasuは内心ため息をついて答える。
「ええまあ・・・、hydeくんほどじゃ無いっすけどね」
「嬉しいけど、なんや勿体ないよな、ちゃんと食べてあげたいねんけどな」
「そうっすね〜」
ははっ、と笑うyasuを、それまでいつものように話をしていたhydeがじっと見つめた。
なんですか?と聞き返そうとした所をhydeに先をこされる。
「なんやねん、オマエ。」
「え?」
「この俺が一緒におったるっちゅーに、何が不満やねん。」
「え、そ、そんな不満なんて・・・」
「じゃあ、なんでそんな元気ないねん、言うてみい?」
「う・・・そ、それは・・・」
hydeに諭されて、yasuは先ほどからあった一部始終を白状した。
話ながらあまりの情けなさに、我ながら悲しくなる。
落ち込むyasuとは対照的に、hydeは”yasuらしい”と笑った。
「それで、さっき隠したんや?」
それ、と後ろ手に隠してあるチョコをhydeが指差す。
「気づいてはったんですか?」
「いや、チョコだとは思わんかったけど・・・」
そう言ってhydeは手を差し出した。
「え?」
「”え?”やなくて。ソレ俺にくれるんやろ?」
「け、けど、なんや形もくずれてるし・・・」
「ええから、はよう頂戴や。」
ホレ、とばかりにずいと手を出すhydeに、yasuは後ろに隠していたチョコを手元に戻す。
改めて見てみても相変わらずちょっと無残な状態に変わりは無い。
そして・・・、
「や、やっぱりあかん!」
一欠け欠けたチョコを見て重要なことを思い出し、一度ひらいた包みをまたガバッと元に戻した。
「あ、こら!なんでやねん!別に形なんて気にせんって。」
手をだして、ちょうだい、とひらひらと降るhyde。
それにyasuは首を降り断固として渡さない。
「・・・もー、なんでやねん?」
「せ、せやって・・・ka-yuと間接キスになってまう」
一瞬間を置いてyasuを見つめたhyde、そして笑い出した。
「あははははははは!」
内心デジャヴか?と思うぐらいに、どこかでみたような光景。
どうして一日のうちに自分は二度も大笑いをされなければならないのか。
しかも、そのうちの一人は想い人。
「・・・笑ったらええねん、それでも俺は嫌やねん。」
抑えようともせず素直に笑うhydeに、yasuも諦めたように肩を落とす。
しばらく笑った後、落ち着いたhydeはyasuに言った。
「じやあyasuが先に食べて?」
「へ、な?」
「もう、ええから早く!」
yasuの手元からチョコを奪いとり、yasuの口におしつけた。
「むぐっ」
口の中にチョコの甘い味が広がる。
余りの甘さに顔をyasuが顔を顰めている間に、パキンと折れたチョコを手にhydeは不敵な笑みを浮かべ、
「じゃあ、いただきます。」
自らもソレを口に含んだ。
その様子をyasuは呆然と見ていた。
(こ・・・、これって間接キスちゃうんかーーーーーーー!!!?)
騒がしく慌てる自分の中のもう一人の自分。
けれど当のyasuはチョコを食べるhydeを、恍惚とした表情のままただ呆然と見つめていた。
食べ終え、お世辞か否かhydeは”おいしかったで”とyasuに向かって笑う。
まあ既存のチョコを溶かして固めたシンプルなものだから味も変わりようが無いだろうし・・・。
その言葉は素直に受け取っておこう。
「せやけど、まさか男からチョコ貰うとは思わんかったわ〜、おまえそんなに俺に憧れてんの?」
悪気無く笑うhydeに、どうしてこんなにもこの人は鈍いのか、小さく苦笑い。
まあ今回もそれとなく交わされるだろうと思っていたから別にショックではない。
ちゃんとhydeが受け取ってくれたことだけでもyasuの目的は果たされた。
「けど、おまえほんまついてへんなー」
先ほどの話を思い出したのか、またくつくつとhydeは笑い出す。
”できれば忘れたいのに・・・”と、yasuは力なく笑い、肩を落とした。
そんなyasuを見て、ニッと笑ったhydeは。
「そんなついてないyasu君に、俺様がご褒美をあげよう。」
そう言ってhydeはポケットを探り何かを取り出した。
「はい。」
yasuの目の前で開かれた手の平には一口サイズの・・・チョコレート。
「こんな大層なもん貰っておいて、ちょっと申し訳ないけどな」
と苦笑いを浮かべるhydeだったが当のyasuは頬を紅く染めたまま期待に満ちた瞳でそれを見つめる。
「も、貰って、ええんすか?」
”どうぞ”と差し出すhydeの手から、ソレを受け取ったyasuはぎゅっと拳を握り締めた。
「ありがとうございます〜〜〜〜〜〜!!!」
偽り無く心底嬉しそうに笑うyasuを見て、hydeは小さく息を吐き笑う。
「お返し、期待してるからな〜」
「はいっ!」
にやりと笑ったhydeに、yasuも満面の笑みで返事を返した。
更に機嫌の良くなったyasuに、hydeが内心”ポケットに一個入っててよかった”と思った事を、
幸せの最中に居るyasuは知る由もない。
end.
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なんだろ、このギブ&ギブ&ギブ&ギブ&気まぐれでたまにテイク みたいな関係わ(笑)
ねえ、そろそろ気づこうよ・・・理不尽な関係だって!!!!!(笑)
嗚呼もうきっとyasuさんはずっと気づきませんね。
とりあえず、なんでうちのyasuさんいつも笑われてんやろ(笑)
てゆか、貰いもんだと思ったチョコを勝手に喰うka-yuもどうだろう。(笑)
それ以前にさ、「思わぬ事態にチョコを渡せずドギマギする」のって、いわゆる受けの役割ですよね?
なんでうちのは、yasuさんがドギマギしてんの?(爆)
(それでもうちのは紛れも無くヤスハイですよ。hy受けですよ。譲れませんよ。)
どうしよう、突っ込み所満載だ!!!
聖なるバレンタインなのに・・・(笑)
まあいいや、ヤスハイは可愛くを目指してるから。(笑)
でも実際書いてて楽しかった。
あーもうほんま、なんかヤスハイって書いてて楽しい。(爆)
特にyasuさんが笑われてるところとか。(愛情!!)
VD小説、他カプも書きたいなぁ。
2006.02.15
Heavenly Feathers 管理人