月明かりの下で ずっとレコーディング続きで。 毎日が家からスタジオの往復で日々が過ぎていっていた。 同じBAND内ながらも、あまりhydeとスケジュールが重なることがなくて、 しばらくの間、hydeとも合っていない。 別に故意的な意味は無いけれど、ただちょっと今は集中したい時期で。 自分から連絡を取るという行為をする気にもなれなかった。 hydeも同じBANDでやっているわけだから、承知してくれているから 向こうから連絡がくることも滅多になくなっていた。 ・・・というのも、少し前まではhydeから連絡が入っていることもあった。 けれど、なかなかオフが重なることも無くて、結局お互い逢えないまま。 レコーディングが終わってから逢うこともできなくは無かったけれど、 hydeは俺を気遣ってくれているのか、それを言うことはなかった。 * その日は、集中したくてずっと携帯を離れた所に置いたまま作業をしていた。 一段落終えて、ふと携帯を見れば「メール受信」の文字。 メールを開けば、それはhydeからで ――――――――――――――――――――― 今日逢える? ××公園で待ってる。 ――――――――――――――――――――― そう完結的なメールが入っていて。 メールを受信したのは、7時過ぎ。 とっさに俺は時計を見た。 今の時刻は10時半。 すぐさま俺は携帯を持ったまま駆け出した。 しばらく逢えない間。 hydeは気遣って、だんだん”逢いたい”と言わなくなった。 このメールでhydeが言った”逢いたい”という言葉が ただ、俺の頭の中でリフレインしていた。 仕事に明け暮れる毎日で忘れていた、大切なことを思い出して・・ * 指定された公園へ着いた頃には、11時を回ってしまっていた。 まだ十月と言えど、夜になると肌寒い。 公園内はこの時間に人が居るわけもなく、しんと静まり返っていた hydeを見つけようと見渡すけれど人影が見つからない。 (こんな時間に・・・おるわけないか) 一つため息をして。 公園を出ようと歩き出した時、 「えっ」 不意に後ろから伸ばされた腕に抱きしめられた。 「hyde・・・?」 呼びかけてみるも、hydeは後ろから抱きついて黙ったまま。 服を強く掴んだままの手に触れれば冷え切っていて。 背中から伝わる体温も、いつもの暖かさを感じない。 「―っ!?まさかずっと ――」 「・・・本まに・・来てくれへんのかと思った・・・」 言葉を遮るように呟いたhyde。 冷たいその手が俺の服を掴んだ。 そしてその後に・・ 「ごめんな・・そんなん思って・・・」 ”ちゃんと来てくれたのに” 少しくぐもり、震えた声からhydeの気持ちが伝わってきて。 そんな謝る必要なんて無いのに。 謝らなきゃいけないのは、俺自身。 俺を信じて、こんなに待っていてくれたのに・・・。 背中越しに伝わってくるhydeの感覚。 「謝るのは俺のほうやろ・・ごめんな?」 こんなに待たせて・・ 寂しい思いをさせて・・ 顔が見たくて振り返ろうとしたら、背中から回された腕に力が込められた。 背中に少しの重み。 「ちょっと今はあかん。」 額を押し付けるようにしてhydeが言った。 「―・・・泣いとるん?」 首だけ回してみても、辛うじて俯いているのが分かるだけ。 「・・hyde?」 「っ、・・な、泣いてへん!でもあか――」 言いかけたところで体を捩じらせて、先ほどまで抱きついていた腕を引いた。 よろけたhydeは重力のまま俺の腕の中に納まった。 「・・・――っ・・あかん言うたんにっ!」 隠すように顔を埋めたまま言ったhydeに 「俺にもちゃんと抱きしめさせてや」 そう言って、ぎゅぅと抱きしめた。 抱き込まれるようにしていたhydeも、腕を回して抱きしめ返してくれた。 冷めていた体温が、上昇する。 俺はhydeの髪を梳きながらそっと頭をなでた。 愛しげに見つめていると、 「てっちゃん・・・来てくれてありがと・・無理言ってごめんな・・・」 そうhydeが小さく話し出した。 「でもな、どうしても今日逢いたかってん・・・逢って、ちゃんと伝えたかってん・・・。」 そして、ずっと俯いていたhydeが顔をあげた。 月明かりに照らされたhydeの表情があまりにも神々しくて。 俺は思わず息を呑んだ。 「おめでとう」 hydeはそう言って微笑んだ。 「えっ・・・―あっ!」 一瞬考えた俺は、あることに気づいた。 そうか、今日は・・・ 「やっぱ忘れとったの?今日、てっちゃん誕生日やろ?」 ”やっぱり”とクスクス笑うhyde。 笑われているのに、目の前で笑うhydeの笑顔が嬉しくて俺も笑い出した。 「ありがとなー」 「あ、プレゼントも」 そう言ってポケットを探り出したhyde。 その手を掴むとhydeが不思議そうな顔でこちらを見る。 「?・・てっちゃ――」 その唇にそっと口付けをした。 ぎゅっと服を握り返してくるhyde。 唇を離して、また抱き寄せて。 もう一度ささやく。 「本当に・・ありがと・・・」 「・・うん」 そう一つ返事をして、またhydeは笑った。 * 月明かりの下で大切な君が祝ってくれたバーズディ。 願わくば、また来年のこの日も隣で君が笑っていますように・・・。 大切な君が笑っていてくれますように・・・。 その笑顔が俺にとって一番の”プレゼント”だから。 end. +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ COMMENT ご、ごめんなさい。 だいぶ遅れて・・・(−−; テツバ小説です。 初めから幸せ〜な感じだと在り来たりかな〜と思って、 ちょっと初めはすれ違わせてみましたー。 書いてみて、思ったよりもハピバな感じが薄い気がしてびっくりです。(何) まぁ、でもこんなハピバもどうでしょう? とにかくてっちゃんオメデトウv これからもハイちゃんを愛してねv(^^ 昨日はてっちゃんは、ハイちゃんに祝ってもらっていたのかな? でわでわー。 感想なんかもお待ちしております。 Heavenly Feathers 管理人。 戻る。 |