Happy birthday (tetsu×hyde)




この日、我らがバンドのヴォーカリストの誕生祝いの為に催された宴の席。
さほど華やかではないながらも、温和な感を読み取るのは充分だった。

中盤になり同胞との話に華も咲き、もはや何の為に開催したのかも曖昧になりつつある頃、
ふと、主役の人物が見当たらない事に気づき、辺りを見渡した。

確信めいたものではないが、何を思うでもなく彼の居るであろう場所を読み取って。
外へと通じるドアを開けた。

予想通りの場所にその背中を見つけて、無意識に心の中で安堵する。
それはなんとなく感じていた彼と自分の差を縮められたような気がしたから。
また自分は彼のことを理解できている、と無意識に評価していたのかもしれない。
時折そう考えていないと、その背中はたやすく自分の前から羽ばたいていってしまいそうで。


冷たい夜の風が吹く中、そっとその背後へと近づく。
長くなった髪は風に揺られて、いつかの日を彷彿とさせた。

「こんなとこに居ったんや」

不意に掛けられた声に、hydeはゆっくりとこちらを向いた。

「てっちゃん」

憂いを帯びているようにも見えた瞳が、細められてほんわりと笑みをかたどった。
その笑顔に、またしても安堵する自分が垣間見える。

「どないしてん、こんなとこで」

主役がおらなアカンやろ、と笑いながら問う。
無論攻める気などまったく無いけれど。

「ちょっと、外の空気吸いたくなっちゃって」

そう言ってまた笑ったhydeは、そのまま視線を空へと戻した。


空は珍しく星が見えていて、少しだけ特別な夜を感じる。
そのまましばらく風に揺られて、唐突に話を切り出した。

「hydeは、後悔しとらん?」
「え?」
「バンドに誘った時も、俺が想いを告げた時も、結局hydeは笑って承諾してくれたから。」

いつだって気を配って笑っていてくれる人だから。
だから、本当は・・・なんて思ってしまう自分が居て。

「俺は・・・今までだって知らずにhydeを傷つけてきたかもしれない、
 これからだってhydeのことを傷つけるかもしれない、だけど・・・」

だけど・・・

「俺はhydeを離さない。」

離さない。
離せない。

離したくない・・・・。

ずっと、傍で笑っていて欲しい。
俺だけの為に笑っていて欲しい。

抱きしめる腕に力を込めたら、その腕の中でhydeの肩が小さく揺れた。

「hyde・・・?」

「・・・・ははははっ」
「えっ?は、hyde?」

俺の腕の中で突然笑い出したhydeに俺はうろたえた。
一世一代の大きな自白でもあったのに。
ひとしきり笑った後、hydeは体をこちらに向けて

「ふははっ、ごめん」
「う、うん」
「なんや俺の気持ち気遣ってくれたのかと想いきやいきなり”離さない”て、
 重宝されとんのか命令されとんのか分からんわ」

そしてまた、くっくっと笑った。
その後、まっすぐと俺のほうを見て

「俺はてっちゃんが大好き、傷つけられようが、てっちゃんにとって迷惑だろうが、
 俺はてっちゃんの傍に居りたい。 だから・・・・」

その瞳は先ほどまでのものとは違う、毅然とした力強い眼差しで。
けれどどこかに切なさと柔らかさを映すのは、彼自身の人柄からなのだろう。
見つめたまま、俺の胸に体を預けて、

「俺を絶対に離さんで。」

力いっぱいに抱きついてくるhydeの腕。
それに想いを重ねて、愛おしくて。

「うん、絶対に・・・」

負けないぐらいの想いを込めて、優しく強く抱きしめて。


「また祝ってな。来年も、再来年も、10年後も・・・ずーっと・・・」

「うん・・・、HappyBirthday」



 end.




◆COMMENT◆

 わー・・・いっぱいいっぱいだぁ・・・。(痛)
 もう一度、ちゃんと書いてあげたい。
 でもちょっと時間切れ感が・・・(涙

 hydeさんのバースディ祝ってきますv

 2005.01.29


少しだけ手直ししました。(^^
上記↑(29日コメント)の通り余りにもいまいちな出来上がり具合だったので。
ちょっとしんみり系で。
テツさんはやっぱりhyさんに惚れ込んでるイメージがあるし、
でも実はhyさんもてっちゃんが考えてる以上に、
てっちゃんのことを想っているっていうイメージがあるので。

2005.01.30

Heavenly Feathers 管理人


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