Beginning (tetsu×hyde)
「てーっちゃん、遊ぼー?」
プロモーションの為に訪れた地方。
次の日もプロモーション作業があるため、今日はこのままホテル泊まり。
割り当てられた自分の部屋へと戻り腰を落ち着けたtetsuの部屋のチャイムが鳴る。
その音と共に響いてきたのが冒頭のhydeの台詞だった。
「hyde?」
tetsuがドアを開けると、hydeはにっこりと笑って部屋へと入ってきた。
「どないしたん?」
「つまらんのやもんー」
部屋の中をブラブラと物色し、ソファーへとたどり着く。
その向かいに腰を下ろして気になることを聞く。
「kenちゃん達、おらんかったん?」
なんとなく、自分のとこに来たことが心外だった。
「kenちゃんなぁ、どっか出かけてもうてん。ゆっきーはチャイム鳴らしても一向に出て来んし・・・」
”寝てるんかなぁ・・・”と、形の良い眉を歪めて考える仕草をするhyde。
そのhydeの言葉をきいて、tetsuは”なるほど”と思った。
「だからな、てっちゃんと遊ぼう思うてな。」
わくわくと音が聞こえてきそうなぐらい期待に満ちた瞳を向けてくるhydeに、tetsuは少々苦笑いを浮かべた。
「そう言うても、俺なんもできんしなぁ・・・」
結局そのまま、酒を飲んだり他愛もない話をして時間は過ぎていった。
外の夜景を見たりしながら、ベッドへと腰を下ろしたhydeはぽすん、と仰向けに横になる。
「ライヴ・・・早ようやりたいなぁ」
何かを掴むように天井へと向け手を伸ばしたhydeは、呟くように言葉を零した。
「うん、そやなー・・・」
それに返事をしながら、瞳を閉じて思い起こす。
溢れ出す音にhydeの声が乗る瞬間、tetsuはその瞬間が好きだった。
キシッと鳴ったベッドの軋む音で、はっと我に返る。
「hyde?」
やけに静かになった相手に疑問を持ちベッドへと近づくと、小さく寝息が聞こえてきた。
なんとも中途半端な格好で、しかも人のベッドで・・・・。
型破りな自分の所のヴォーカリストにtetsuはまた苦笑った。
どないしよ・・・と思ったところで、あまりにも無防備すぎる寝顔に、はたと目線が止まる。
すい、と顔を近づけて、ここぞとばかりに見つめる。
睫毛長いよなー・・・
無防備な寝顔を晒す相手に、そんなことを思って勝手に鼓動が高鳴る。
気づけば小さく寝息を漏らす唇に口付けをしていた。
自然と瞳を閉じていたのか、ゆっくりと瞳を開ける・・・と、ぱっちりとした瞳で自分を見るhydeの目線とぶつかった。
「っ、あ、いや、ごめん・・・綺麗やなー思ってたらつい・・・べ、別に他意は無いでっ、な?」
慌てて身を離し、目線を泳がせながら弁解をするtetsuとは逆に、ゆっくりと身体を起こしたhydeは、
「他意は、無いん?」
「え?」
「俺は、嫌やないで、てっちゃんとこういうことすんの・・・」
そして、ゆっくりと顔が近づき、また唇が重なった。
そっと顔が離れると、悪戯に笑う瞳と目があった。
恥ずかしさのせいか、なんとなく気まずくてちょっと目線を逸らす。
「・・・てゆか、もしかしてhyde”いい暇つぶしができた”とか思っとる??」
「なんでやねん、俺そんな遊び人ちゃうで!!!」
”ムードも何もないやん”と、頬を膨らませて不機嫌そうな表情を作るhyde。
このまま機嫌を損ねたらまずいと直感的に感じ取ったtetsuは弁解を始める。
「いや、だって、kenちゃんとかならともかく、俺をなんて・・・思っとらんかったから・・・」
「kenちゃんは、バンド仲間。友達やもん。」
拗ねたように話すhydeは少し子供っぽく見える。
「てっちゃんは・・・」
そこでhydeは一度言葉を区切って少し俯き、けれどすぐに顔を上げ続く言葉を話し出した。
「てっちゃんも大事なバンドのメンバーやけど・・・でもそれ以上にな、てっちゃんとおるとドキドキすんねん」
そういって今度はほわりと笑った。
明らかに自分へと向けられた、そのhydeの微笑みにtetsuは瞳を奪われる。
ただ純粋に、可愛いと思った。
今まで何度もそういった場面はあったけれど、これまで以上にたまらなく”愛おしい”、と。
そして自分はやはり出逢った時から惚れていたのだ、と今更ながらに実感した。
「・・・俺も、いつもドキドキしてたで」
少し紅く染まっている頬へとそっと手を添え、上を向くよう促す。
「hydeの声にも、表情にも、仕草にも・・・hydeの全部にドキドキしてた。」
本当はいつも思っていた・・・誰にも渡したくない、と。
ゆっくりと顔を近づけ、そっと唇をふさぐ。
抱き寄せるように腕を回すと、それに応えるように縋るように腕が回された。
浅く啄ばむような口付けから始まり、いつの間にかお互いを求め深いものへと変わっていく。
はぁ、という吐息と共に離れた唇。
どちらともなく、くすりと小さく笑みがこぼれた。
「なんや、恥ずかしいね」
「そやな」
ふ、と小さく息を吐くけれど、抱きしめた腕はそのまま。
寄せられる体温が暖かくて心地よい。
*
いつもと変わらない他愛なさに少し甘さを足した時間を過ごした後。
「今夜は泊めてなvv」
何ら問題も無いという具合に、hydeは笑顔でその言葉を吐いた。
「えっ、ちょっ、それはまだ早すぎ」
「何を考えてんねん、てっちゃんはそっち」
慌てるtetsuにhydeはソファを指差しにっこりと笑うと、自分は布団の中へともぐりこんだ。
「おやすみーv」
自分のベッドで眠りに入る愛おしい人の背中を見ながら、”せめてhydeの部屋の鍵を貸してくれ”と思うtetsuであった。
end.
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アンケート回答でテツハイが思ったよりも多くて、少しびっくりしながら・・・(笑)
でも内心嬉しかったりもします。やっぱりもともとはテツハイサイトですからねー。
しばらく書いていなかったのに、支持してくれる方が居て凄く嬉しいです。
そんなこんなでテツハイ書こう!と思い書いた小説。
またしても馴初め・・・馴初め好きでごめんなさい。
ネタが無いとか、ネタが無いとか、ネタが無いとか・・・そういうんじゃないんですよww
ヤスハイばかり書いていたせいか、なぜか気づくと残念な終わり方になっている・・・(苦笑)
こんな話が読みたいとかあったらコメントでもなんでも結構ですので、聞かせてやってくださいませー。
2006.03.10
Heavenly Feathers 管理人