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sweet & delicious








久しぶりにお互いに時間が合って、じゃぁ逢おうかなんて話になった。
まあ、向こうがソロの仕事が入っているから夕飯食べて、
あとはのんびりして・・・て感じだけれど。
それでもしばらく逢えない日が続いていたから凄く嬉しかった。

まぁ、久しぶりに逢うのだから、せっかくなので夕飯でも作るかなーと思い立ちキッチンへ。
とは言ってもそんなにたいしたものも作れない。
適当に主食になるようなものとサラダとかの付け合せ、後はつまみになりそうなものをちらほら。
ビールもワインもしっかり冷えている。


出来上がった品々をテーブルに並べて完成。
もちろん二人分。
あとは待ち人を待つのみ。
並んだ料理を見渡し、満足げに息を一つ吐いた時・・・

携帯が音を鳴らし着信を訴えた。

ディスプレイには待ち人の名前。

「もしもし?」

「あ、hyde?俺やけど、今まだスタジオやねん・・・ちょっと仕事長引きそうで・・・ほんでな・・・」

そこまで聞いて、今までの上昇していた気持ちがぐんぐん下降していった。
最後まで聞かなくてもわかる。今日の予定はキャンセル。

「あ、ええよー別に」

ショックを受けてる自分とは裏腹に、明るく答えてる自分が居た。

「ごめんな・・・」

本当に申し訳なく思ってくれてるんだろう。
少しトーンの落ちた声音だけでも分かった。

「あー・・・実はな俺もちょっと出かけたいとこあってん!せやから丁度良かったわ!」

それでついついそんなことを口走る。
ズキンと音を立てる心とは反対に乾いた笑い声が口をつく。

「ほんま平気やから!気にせんとちゃんと仕事しいや!・・・じゃぁ、またな。」

そう一方的にまくしたてて、こちらから電話をきる。
向こうはまだ何か言いたそうだったけれど、もうその声を聞いていたくなかった。
そのまま会話を伸ばして話していても空しいだけだろうから・・・。

ツー、ツー、と規則的な機械音が部屋に響く。
俺はそのまましばらくそこに立ち尽くした。

それからゆっくりとテーブルの上へと視線を向けた。
そこには未だ食する者を待つ料理が湯気をたて並んでいた。

「あーあ・・・柄でもないことするからかな・・・」

ははっと力なく笑った自分が滑稽で仕方がなかった。

まぁ気をとりなおして・・と自分に言い聞かせ、料理の前へと座る。

「あーもう、せっかく俺が腕によりをかけて料理作ったんに食べへんなんて
 kenちゃんももったいないことすんなぁ~」

そういって一口、まだ温かい料理を口へと運ぶ。

「あー、本ま上出来やん~、これ食べへんなんて本まもったいない~」

そういってまた一口。

「まぁ、仕事じゃしゃあないけどなー! ・・・・・」

そして手を止めた。

まだ温かいままテーブルを飾る料理たち。
それなりに作りなれた料理を作ったし、腕だってそんなに悪くない。

けれど・・・

「・・・・おいしくない・・・・・」

手元から落ちたスプーンが皿に当たり、カツンと音をたてた。

どれだけ腕によりをかけて作っても、
どれかけ気持ちを込めて作っても、
本当に食べて欲しい人に食べてもらえなかったら意味がない。


・・・一人で食べてもおいしくない・・・。





**





かぎなれた煙草の香りで目を覚ました。

「んー・・・」

どうやらそのまま寝てしまったらしい。

けど、あれ・・・?
この煙草の香りは・・・


「おはよーさん、よぉ眠れた?」

不意にかけられた声に顔を上げて俺は一瞬で眠気が吹き飛んだ。

向かい合う席座っていたのは、紛れも無くここに来るべきだった人。

「ぅわっ、kenちゃん!!」

思わず俺は後ずさった。

「何よその驚きようは~俺は幽霊かっちゅーの」

煙草をくわえたまま、笑みを浮かべて話す。
懐かしい表情。
ずーっと逢いたかった人。

「せやって今日来れないって・・・」

俺は驚きだか、喜びだかわからない気持ちで聞いた。

「そんなこと一度も言ってませーん。俺はただ、ちょっと遅れるって言おうとしただけやで?」

してやったりな顔で言ったkenちゃんは、

 「まぁ、hydeのことやから勝手に勘違いしてんやろなー思って、
 それやったらいきなり行ってびっくりさせたろー思ってな。」

そう付け足して、またニッと笑った。

その笑顔にぐんぐん気持ちが上がっていくのが分かった。
正直、凄く嬉しかった。
けれど待ってたなんて言ってやるのも癪だから、逆にこっちからも言ってやる。

「そんなん言うて、ほんまは俺に逢いたくて仕事抜けだして来たんちゃうのー?」

身を乗り出して勝ち誇ったように言えば、一瞬きょとんとしたkenちゃん。
けれどすぐにまた笑って。

「・・まぁ、そういうことにしといたるわ」

そしてぽんぽん、と俺の頭をなでた。

お互い目があって思わず微笑む。
この感触がすごく懐かしい。


「それより、これhydeが作ったん?」

目の前に広がる料理を眺めながらkenちゃんが言った。
温かかった料理も今はもう冷めてしまっていたけれど。

「ん、まぁ・・・久しぶりに作ってみたんやけど・・・」

そんな俺の話を聞きながら、料理を見渡していたkenちゃんは、

「食べてええんやろ?」

「でも冷めてもうたしっ・・・」

そんな俺の返事を待たずに、一口、口へと運んだ。
そして一言。

「んー、うまいっv」

「あっ、今温めるって・・・」

まだそんなこと言う俺の口に、一口kenちゃんが押し付けた。

「んぐっ」

「ど?」

押し付けられたそれを、飲み込んで俺も一言、

「・・・おいしー」

それを見てkenちゃんはまた笑った。

「な、冷めてもけっこういけるやろ?」

俺はこくんとうなずく振りをして、ちょっと顔を俯かせた。

いつも見てた笑顔のはずなのに、なんだか恥ずかしい。
顔が熱くなるのを感じた。

そんな俺の髪を梳きながら、

「俺のために作ってくれたんやろ?ほんま、ありがとv」

その優しい声に、不覚にも顔を上げてしまった。
やっぱりkenちゃんは笑顔で、その笑顔が嬉しくて俺も自然と笑ってしまった。

「あっ・・・でもとりあえず温めてくるなっ」

俺は照れくさくて、その場にあった料理をもってキッチンへと向かった。

レンジへと入れて温まるのを待つ間、顔が緩んで仕方がなかった。



やっぱり、一人で食べるより、二人のほうが断然いい。

一人でいるより、大好きな人といるほうが断然楽しい。


ああ、そうだ・・・せっかくだからデザートも作ろう。

今の気持ちみたいにとびきり甘くておいしいやつを。



レンジの中でだんだん温度を変えていっているであろう料理を見ながら、

俺の心はやわらかい温かさに満たされていた。





**





一方リビングでは

甘い笑顔を残してキッチンへとかけこんでいった愛しい人の後姿を見送って。

そしてポケットから携帯を取り出した。
スタジオから出てから鳴り続けている、仕事仲間からの着信。
”悪いな”と苦笑いを一つこぼしながら、携帯の電源を切った。

「まぁ、あんな嬉しそうな笑顔も見れたし良しとするかな。」

明日の小言のことを考えるより今夜の甘い時間を満喫しよう、と

また一本煙草を銜えて、温かい料理と共に愛しい人が現れるのを待つのだった。






end.






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COMMENT


歌姫総受け企画、第一弾!!(何)
ケンハイです。


ぎゃーー!ついに書いてしまいました・・・ケンハイ。
本当すみません・・・(T_T)

はい、kenちゃん実は仕事を抜け出してきたのですね。
それをhyちゃんに伝えない辺りに、kenちゃんの優しさをちりばめてみました。

・・・それを後書きで説明しなければならない辺り、私の文才の無さがよぉく分かります。

そしてhyちゃんが持ってたのがスプーンなのは、当初の料理がカレーの予定だった為です。
ナス入りのね♪(笑)

書いてて楽しかったです。
また、ケンハイも書こうかな(^^


そして、まだまだ続きます!!
歌姫総受け企画!!第二弾は誰にしましょう。
サクハイから、ヒロハイ(HIROKI×HYDE)、リーハイ(リーホン×ハイド)なんでも有りです(^^
ええそりゃもちろんBAND外でも。


読みたいカプとかあったら是非是非聞かせてくださいな。
メールでも、BBSでも・・・。
近々、メールフォームか拍手等も取り付ける予定ですので、
”こんなの読みたいよー”と言ってやって下さい。
あ、詳細なんかも教えてくれると、書きやすいです。(をぃ)

いろいろ書いて溜まってきたら企画用に別部屋作ろうかと考えてます。



でわでわー、ケンハイの感想も待っておりますー(^^



Heavenly Feathers 管理人。




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