これから先も... (Gackt×hyde)
「happy birthday hyde。」
がっちゃんの家に着くと、がっちゃんはいつものようにハグをして誕生日のお祝いの言葉をくれた。
「ありがとう」と笑って返すと、がっちゃんもにっこりと笑ってくれた。
「ごめんね、先約とかあったんじゃない?」
心配して申し訳なさそうに聞いてくるがっちゃん。
「ううん、大丈夫やで。それに・・・がっちゃんと居りたかったし」
さりげなく零した自分の本音に、我ながら恥ずかしくなって、慌てて話題を逸らした。
「あっ、ワイン・・・貰って良い?」
差し出したグラスに、がっちゃんは小さく笑ってワインを注いでくれる。
こうして一緒に飲むのももう何度目になるだろう。
何度もこういう機会はあったはずなのに、未だにどきどきしてしまう。
ましてや仲の良い親友で通っているわけだから、こんな感情おかしいのかもしれない。
けれど見つめてくるがっちゃんの優しい瞳とか、さりげなく伸ばされた腕、指先・・・。
その全てをなぜか意識してしまう。
そんな想いを断ち切るようにワインを口に注いだ。
ワインも手伝ってか、いつもどおりちゃんと話をすることが出来たているはず。
がっちゃんが用意してくれた特大のケーキ。
「こんなのひとりじゃたべられない」と零した俺に、「食べるまで帰さないよ」なんて冗談を言うがっちゃん。
意識してどきどきしたり、ちょっと慌てたりもするけれど、この時間が決して嫌な訳ではないから。
それでもやっぱりがっちゃんと居るのは楽しいから。
むしろ、このままこの時間が終わらなければいいと想った。
さっきの冗談も、がっちゃんが自分と同じ気持ちで居てくれた故の言葉だったらいいのに・・・。
なんて、有りもしないことを願ってまた少しどきどきしてみたり。
けれどいつまでもそんな時間は続かない。
時計の告げる時間は、もうすぐ日付が変わる。
きっとがっちゃんも明日仕事有るだろうし、ゆっくりしたいだろうし・・・。
「・・・あ、もうそろそろ帰ろうかな」
立ち上がった俺の腕をがっちゃんが掴んだ。
「泊まっていったら?」
気持ちを紛らわす為にいつもより早いペースで飲んだせいか身体が火照る。
このままいたら・・・なぜかまずい気がした。
「あ、いや、いいよ、悪いし。帰るわ。」
「帰るって、飲んじゃったのに何で帰るの?」
「タ、タクシー拾うし、」
「もう少し居てよ?ね?」
見上げてくる寂しそうながっちゃんの表情に、胸が高鳴った。
「泊まって行ってよ、明日ちゃんと送るから」
見つめてくるがっちゃんの瞳に耐え切れなくて、俺は小さく頷いた。
*
それから同じように飲み直しを始めた訳だけれど・・・
あれからがっちゃんは何だかそわそわしてる。
滅多に取り乱したりしないがっちゃんだから、目に見えて分かるという訳じゃないけど、雰囲気で分かる。
なんだか・・・落ち着かない感じ。
どないしよう。やっぱり帰ったほうが良かったかな。
もうすぐ日付も変わる。
いたたまれなくなって、口を開こうとした時、沈黙を破ってがっちゃんが口を開いた。
「hyde」
「な、に?」
その瞳が余りにも真剣で、返す返事に思わず詰まってしまった。
「来年のこの日も、僕に祝わせてくれない?」
「・・・え?」
「来年だけじゃない、再来年も、そのまた来年も・・・祝わせてほしいんだ、僕に。hydeと・・・二人で・・・」
「えっ、あのっ」
突然のプロポーズみたいな言葉に頭の中がぐるぐると混乱する。
でもそんながっちゃんの台詞を舞い上がって聞いている自分も居て。
予想もしなかった展開に俺はあたふたとするしかできなかった。
「・・・迷惑、だよね?」
弱々しく笑ったがっちゃん。
こんな表情のがっちゃん始めてみた。
その表情に俺は慌ててぶんぶんと首を振った。
「め、迷惑なんかやないっ!俺もっ・・・俺もがっちゃんのこと、好き・・・やもん」
恥ずかしい・・・。
俺の言葉に少し安心したような表情に戻ったがっちゃんだったけれど、はっとまた少し切なそうに小さく聞いてきた。
「あのね、hyde。僕が言ってるのは友達としてじゃなくて・・・」
「分かってる。」
恥ずかしいけど、今度はちゃんとがっちゃんを見て言う。
「俺も、がっちゃんのこと大好き。」
そんな俺の言葉に、がっちゃんの表情がほわりと変わって。
俺の大好きな優しい笑顔に戻ってくれた。
やっぱり好き。大好き。
「hyde・・・キスしていい?」
がっちゃんの手が頬へと添えられる。
俺は真っ赤になりながら小さく頷いた。
がっちゃんの顔がだんだんと近づいてきて、俺は目を閉じた。
「・・・ん・・・」
別にキスなんて初めてなわけでもないのに。
凄く気持ちよくて、心地よくて・・・酔わされていく。
唇を離して、瞳をあけるとすぐ目の前にがっちゃんの顔。
そしてがっちゃんはまた、ほわりと笑った。
それにつられて俺も笑うと、がっちゃんは抱きしめてくれて頬や額に軽いキスを降らせる。
「来年も・・・」
「ん?」
「来年のこの日も今日以上に幸せにしてな?」
がっちゃんの首に腕を回してがっちゃんを見つめる。
俺の大好きな優しい笑顔を浮かべたがっちゃんは唇に軽くキスをして答えた。
「まかせておいて」
そしてまたぎゅうっと抱きしめてくれて、「改めて・・・」と、耳元で囁いてくれた。
「誕生日おめでとう」
誕生日なんて今更どうってことないと想っていたけれど。
がっちゃんはこの日をとても大切な日にしてくれた。
また来年も今以上に幸せでいられるように、目の前の愛おしい人に俺も全ての愛を捧げよう。
end.
・・・・・・・・・・・・・・・・◆COMMENT◆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
遅れ馳せながらhyさんバースデー小説。
・・・・遅っ(汗)
ガクハイが書きたかったのでガクハイで。
でも捻りも何も無くてすみません。
未だお互いの気持ちを打ち明けていない状態からのスタートで。
・・・馴れ初めっぽいのが書きたかったんです、はい、すみません(−−;
馴れ初め話は好きなので、もっとちゃんと書けるよう精進します。
2006.02.03
Heavenly Feathers 管理人